新型コロナウイルスの感染拡大の際、ソウル市瑞草区のソウル高裁では遠隔映像裁判が実施されていた(c)MONEYTODAY
新型コロナウイルスの感染拡大の際、ソウル市瑞草区のソウル高裁では遠隔映像裁判が実施されていた(c)MONEYTODAY

【08月02日 KOREA WAVE】韓国で、裁判所に出向かず映像機器を使って審理に参加するオンライン裁判の累計実施件数が25万件を超えた。利便性や効率性が高まったとの評価がある一方、審理への集中度や手続きの厳粛さが損なわれるとの懸念も出ている。

大法院(最高裁)によると、オンライン裁判が本格的に拡大した2021年11月から2025年までの累計実施件数は25万3348件だった。2021年11~12月の128件から、2025年には14万8816件まで増えた。裁判所行政処も「定着段階に入った」と評価している。

オンライン裁判は1995年、交通が不便な地域の少額事件などを対象に導入された。新型コロナウイルス流行を経て非対面審理の必要性が高まり、2021年11月に改正民事訴訟法と刑事訴訟法が施行されると利用が急増した。

特に民事裁判での活用が多い。2025年の実施件数14万8816件のうち、民事裁判は14万7306件で約98.9%を占めた。遠方から出廷しても5~10分で終わる期日が多く、当事者や代理人の移動時間と費用を減らせるためだ。高齢者や障害者、遠方に住む人の負担軽減にもつながっている。

一方、制度の趣旨に合わない利用も指摘されている。裁判所の近くに事務所がある弁護士がオンライン参加を申請した例や、ゴルフ場からゴルフウエア姿で参加した例もあった。通信障害や機器の不具合で審理が遅れることもあり、法廷と同じ集中度や厳粛さを保つための基準が必要だとの声が上がる。

刑事裁判での利用は限定的だ。2025年の刑事裁判での実施は1510件で、全体の約1%にとどまった。被告の防御権や反対尋問権、裁判官が証拠を直接確認する原則との調整が必要なためで、主に遠方や健康上の理由で出廷が難しい証人への尋問などに使われている。

映像では証人の顔や身体の一部しか映らず、周囲に第三者がいないか確認しにくい。表情や視線、姿勢といった非言語情報も把握しづらく、証言の信用性を巡る問題が生じる可能性がある。

その一方、性暴力や児童被害の関係者、報復を恐れる証人などが被告と直接対面せずに証言できる利点もある。海外居住者や移動が難しい人の負担を減らし、身柄拘束に関する手続きでは護送の時間と費用も削減できる。

裁判所行政処は、外部参加者向けの手引きを作成し、システムや機器を改善するなど制度の補完を進めている。今後は利便性を維持しながら、裁判の質と手続きの重みをどう確保するかが課題となる。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News