ソウル中央地裁に設けられたオンライン裁判専用法廷の入り口(c)MONEYTODAY
ソウル中央地裁に設けられたオンライン裁判専用法廷の入り口(c)MONEYTODAY

【08月02日 KOREA WAVE】韓国でオンライン裁判の利用が広がるなか、通常の法廷と同じ厳粛さや手続きの公正さをどう確保するかが課題となっている。

ソウル中央地裁のオンライン裁判専用法廷では、遠隔地の裁判に参加する当事者や代理人が、ヘッドセットを着けて審理に臨む。取材した裁判では、弁護士らがシャツとネクタイ姿で出席し、通常の法廷と変わらない落ち着いた雰囲気で手続きが進んだ。音響設備も良好で、裁判官の小声まで聞こえるほどだった。

同地裁にはオンライン裁判専用法廷が5室あり、主にソウル在住者が遠方の裁判所で開かれる審理に参加する際に利用する。このうち1室は傍聴専用で、公開裁判の原則に基づき一般の人もオンライン裁判を傍聴できる。

ただし、個人の機器で参加する場合は、音声や映像の質が安定しないこともある。実際に、当事者の発言が聞き取れず裁判官が何度も聞き直したり、発言が重なったりする場面があった。日差しで顔に影がかかり、表情を確認しにくいケースも見られた。

裁判官からは、画面の外に第三者がいても確認しづらく、当事者だけで参加するよう求めても、実際に守られているか把握しにくいとの指摘が出ている。

海外では、オンライン裁判を単なるビデオ会議ではなく、実際の法廷と同じ規律が適用される「オンライン法廷」として運用する例がある。

シンガポールでは、新型コロナウイルス流行時の2021年、刑事・民事の本案以外の手続きの90%、民事本案裁判の60%以上をオンラインで実施した。現在は、書面証拠を中心に判断する事件ではオンライン審理を続ける一方、証人への反対尋問が必要な民事本案裁判は原則として法廷で開くなど、事件の性質に応じて使い分けている。

オーストラリア連邦裁判所もオンライン会議システムを活用し、裁判所の許可があれば当事者や代理人、証人だけでなく一般の傍聴も認めている。

両国で制度が定着した背景には、電子訴訟の基盤を早期に整備していたことがある。さらに、無断録音や録画を禁じ、公開範囲や傍聴時間を制限するなど、実際の法廷に準じた管理体制を設けている。

シンガポールでは、当事者は静かで私的な室内から接続し、画面外に別の人がいる場合は裁判所に知らせなければならない。身分証をカメラに示し、原則として審理中はカメラをつけたままにする。運転中や歩きながらの参加は禁止され、服装や礼儀も通常の法廷と同じ基準が適用される。

韓国でも、オンライン裁判を便利な接続手段としてだけでなく、裁判所が管理する法廷として設計する必要があるとの指摘が出ている。利用のしやすさを保ちながら、司法への信頼と手続きの重みをどう守るかが今後の課題となる。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News