【8月1日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は7月31日、大西洋の両岸で展開された極右勢力の試みを主導し、北アフリカのモロッコに隣接するスペイン領の飛び地セウタにここ数万人の不法移民が押し寄せた問題の政治利用を試み、野党・民主党が主導権を握れば米国も同じ危機に直面すると警告した。

トランプ氏は、メリーランド州にある大統領山荘キャンプ・デービッドで開いた閣議で、「昨日スペインの様子を目にしたが、大惨事が起きていた」と発言。

「数十万人もの人々によって国が侵略されているかのようだった。(中間選挙で)共和党員が選出されなければ、米国でも全く同じことが、それどころかさらに大きな規模でもっとひどい形で起きることになる」と主張した。

世論調査でトランプ氏の支持率が30%台前半まで低下し、民主党が今年11月の中間選挙で少なくとも下院での過半数奪取を目指す中、セウタでの不法移民危機は共和党の政治的強みである不法移民問題に焦点を戻す好機となっている。

大勢の不法移民が国境フェンスを突破してセウタになだれ込むニュース映像は米FOXニュースで繰り返し放映され、トランプ氏と同盟関係にある右派のSNSアカウントを通じて拡散された。

欧州の右派やトランプ氏とつながりのある指導者たちからも、同様の反応が相次いだ。

ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のアリス・ワイデル共同代表はX(旧ツイッター)への投稿で、モロッコからの不法移民の大量流入によって「セウタは一夜にしてめちゃめちゃになった」と主張。

こうした不法移民の大半の目的地はドイツになる可能性が高いと訴えた。

トランプ政権高官らの支援を受けるワイデル氏は「ドイツは備えなければならない。国境の守りを固め、入国拒否を厳格に実施すべきだ」と付け加えた。

また、イタリアの右派ジョルジャ・メローニ首相とフィンランドの右派ポピュリスト連立政権は、この状況を受けて加国間の国境検査が廃止された「シェンゲン圏」からスペインを除外するよう呼び掛けた。イタリアはその後、スペインとのシェンゲン協定を1か月停止し、同国からの渡航者を対象に入国審査を復活させると発表した。

トランプ氏の支持者で大富豪でもあるチェコのアンドレイ・バビシュ首相は、セウタの状況について、既にスペイン国内にいる不法移民約50万人を合法化するというペドロ・サンチェス首相率いる左派・社会労働党政権の政策が引き起こしたものだと批判。「彼らはスペイン人を移民に置き換えている」と訴えた。

■「西洋への侵略」

2024年大統領選でトランプ氏が民主党のカマラ・ハリス前副大統領に勝利した背景には、米メキシコ国境からの制御不能な不法移民の流入に対する有権者の懸念や、移民が米国人を殺害しペットを食べているとするトランプ氏の衝撃的な警告に対する支持があった。

トランプ政権は、連携した情報発信の集中砲火でセウタの危機に飛びついた。

国務省は声明で、スペイン政府が「欧州への大規模な不法移民を可能にし、促進しようとする意図的な試み」を行っていると非難した。

詳細は明かさなかったが、「米国はこの脅威から国内外の米国民を守るための措置を検討しており、同様の選択肢を検討している他の欧州同盟国を支援する用意がある」と述べた。

J・D・バンス副大統領は7月31日、不法移民がセウタに押し寄せるニュース映像をXに投稿し、この映像は「『西洋への侵略』を可能にした急進左派グローバリストの政策」を浮き彫りにしていると主張。

「神に感謝する。トランプ氏が大統領に選ばれたおかげで、わが国の国境ではこのような光景は見られなくなった」「スペインから届いたこれらの映像は、大量移民と急進左派グローバリストの政策がもたらした結果を思い知らせる悲痛な警告だ」と投稿した。

スティーブン・ミラー大統領次席補佐官(政策、国土安全保障担当)は7月30日夜、Xでセウタへの不法移民流入の動画をリポストし、「民主党は侵略者(インベーダー)によって皆さん(米国民)の家が踏みにじられ、奪われるのを見て歓喜するだろう」と書き込んだ。(c)AFP