【8月7日 CNS】西安―十堰高速鉄道(西十高速鉄道)が6月20日、正式に開業した。

この高速鉄道の開通には、どのような意義があるのだろうか。西十高速鉄道は、陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)と湖北省(Hubei)十堰市(Shiyan)を結ぶ路線で、中国全土を南北8本、東西8本の幹線で結ぶ高速鉄道網「八縦八横」の重要な一部を担う。また、武漢―西安高速鉄道を完成させる最後の区間でもある。

総延長は約257キロ、設計最高速度は時速350キロ。西安東駅を起点に、西安市から商洛市(Shangluo)を経て陝西・湖北両省の境界を越え、十堰東駅に至る。

長年待ち望まれてきた「空白区間」を埋める路線としても位置付けられている。湖北省にとっては北西方面への高速鉄道ルートを補完する路線となり、陝西省にとっては「米」の字型高速鉄道ネットワークを完成に近づける重要な一画となる。

これまで高速鉄道が通っていなかった西安市の藍田県、商洛市の山陽県、十堰市の鄖西県なども、高速鉄道時代を迎えた。これまで西安から湖北省武漢市(Wuhan)へ向かうには、河南省(Henan)鄭州市(Zhengzhou)を経由する必要があり、高速鉄道でも約5時間を要していた。現在は、西安東駅から武漢市の漢口駅まで最短2時間41分で結ばれる。西安―十堰間の所要時間も、1時間10分まで短縮された。

中国の地理的な境界ともいえる秦嶺山脈は、時速350キロの高速鉄道によって初めて貫かれ、「千里に及ぶ秦巴山地も一日で行き来できる」という言葉が現実のものとなった。

しかし、この高速鉄道の価値は「速さ」だけではない。なぜ建設が難しかったのか。西十高速鉄道は、戦略的価値だけでなく、その建設難易度の高さでも注目される。路線は秦嶺山地を縦断し、新設された橋梁は61か所、トンネルは43本に上り、橋梁・トンネル区間の割合は全体の90%を超える。沿線のトンネルは泥岩、砂岩、石英片岩など6種類の地質を貫通している。

中国中部を東西に走る秦嶺山脈を、西十高速鉄道が時速350キロで貫いた。これにより、「遠く離れた秦嶺・大巴山地も一日で往復できる」という状況が現実のものとなった。

しかし、この高速鉄道の意義は、単に移動が速くなったことだけではない。西十高速鉄道は、建設の難しさでも注目されている。路線は秦嶺山脈の山岳地帯を通り、全線に新たに61本の橋と43本のトンネルが建設された。橋とトンネルの区間は全体の90%を超え、トンネル工事では泥岩、砂岩、石英片岩など6種類の地層を掘り進んだ。

これまで秦嶺山脈を横断していた西安―成都高速鉄道の最高速度は時速250キロだった。これに対し、西十高速鉄道は、中国で初めて時速350キロで秦嶺山脈を横断する高速鉄道となった。

この路線の開通は、中国のインフラ建設技術の高さを改めて示すものでもある。また、西安市を中心とする関中平原都市圏と、武漢市を中心とする長江中流都市圏が、高速鉄道で直接結ばれた。両地域の間で、人や物流、技術、情報の往来がさらに活発になると期待されている。

さらに、大都市の医療や教育、雇用の機会が、秦嶺・大巴山地の沿線地域にも届きやすくなる。武漢市、鄭州市、西安市の三大都市圏も、高速鉄道による三角形の交通ネットワークで結ばれる。

高速鉄道の開通で特に恩恵を受けるのは、中核都市だ。河南省鄭州市は2022年、8方向に路線が延びる中国初の「米」の字型高速鉄道網が完成したと発表した。多くの路線が時速350キロに対応している。

西十高速鉄道は、西安市と武漢市にとっても、高速鉄道網をさらに充実させる重要な路線となる。西安市では、「米」の字型高速鉄道網の形成がさらに進み、西安北駅と西安東駅の二つを中心とする高速鉄道ターミナル体制が整った。陝西省北部から中国中部や南部へ向かう際も、西安東駅での乗り換えが便利になる。

武漢市にとっては、北西方向への重要な路線が加わったことになる。これにより、長江中流地域と関中平原が、およそ3時間で結ばれる経済圏の形成が期待されている。

西十高速鉄道と同時に供用を開始した西安東駅も、大規模な高速鉄道拠点だ。西安東駅は、台地状の地形に建設された中国初の大型高速鉄道ターミナルで、駅舎面積は10万平方メートル。ホーム13面、線路27線を備える。

西安―重慶高速鉄道、西安―武漢高速鉄道、西安―安康在来線の各列車が発着し、東側には将来の都市間鉄道用スペースも確保されている。

中国には「高速鉄道が開通すれば、大きな経済効果が生まれる」という意味の「高鉄一響、黄金万両」という言葉がある。長年待ち望まれた西十高速鉄道は、沿線地域の発展を支える新たな交通路として期待されている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News