【7月30日 AFP】ドイツ政府は29日、アフガニスタン人の強制送還について、有罪判決を受けた犯罪者だけでなくドイツ社会になじめない不法滞在者も対象となり得るとの見解を示した。

中道右派のフリードリヒ・メルツ首相が昨年就任してから推進してきた外国人の受け入れをめぐる政策(移民政策)の厳格化の一環として、28日にアフガン人31人をイスラム主義組織タリバン暫定政権下のアフガンに強制送還する便がドイツを出発した。

政府はこれまで重大犯罪で有罪判決を受けた犯罪者の強制送還を優先してきたが、28日の便に不法滞在以外の犯罪に関与していない不法滞在者1人が含まれており、難民支援団体などから強く批判されている。

内務省の広報官は29日の記者会見で、政府の目的は「有罪判決を受けた者や脅威となる者の送還から始めることだ」としつつ、「犯罪者ではない人物を強制送還便に乗せることも可能だ」と述べた。

アレクサンダー・ドブリント内相は28日、今回の強制送還便について、乗客の大半は「殺人、レイプ、暴力行為などの重大な犯罪で有罪判決を受けた犯罪者だ」と説明する一方、1人については「『有罪判決を受けた犯罪者』に当たらない」ことを認めた。

ドブリント氏は「ドイツへの社会統合の兆候がない場合、不法滞在者も強制送還の対象となり得る」との見解を示した。

ドブリント氏は、今回の強制送還に合わせてライプチヒ空港で行われた抗議デモに言及したが、政府が移民に対する「強硬姿勢」を崩すことはないと強調した。

メルツ首相は昨年、自身が率いる保守連合「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が移民政策の厳格化によって反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭を阻止できることを期待して就任した。

だがその後の政党支持率に関する世論調査で、CDU・CSUはさらに低迷し、AfDが安定した差をつけて1位をキープしている。

ドイツは、タリバンが復権した2021年にアフガンの首都カブールにあるドイツ大使館から職員を退避させており、自国民に対してアフガンに渡航しないよう勧告している。

タリバン当局はイスラム法(シャリア)に対する厳格な解釈を適用し、女子教育を12歳までに制限し、女性を対象とした多数の行動制限が課している。(c)AFP