威化島上端里に建てられたマンションと温室農場の様子=筆者提供(c)news1
威化島上端里に建てられたマンションと温室農場の様子=筆者提供(c)news1

【07月27日 KOREA WAVE】7月2日午前、中国・丹東新区にある新鴨緑江大橋から、北朝鮮の威化島上端里を望むことができる鴨緑江の浮橋まで、約20キロを見て回った。鴨緑江の向こうに見える新義州市(北朝鮮平安北道)は、外観上、この数年間で確実に様変わりしており、今も工事が続いている。

一部では、威化島に建設された高層マンションには電気も通っておらず、住民も暮らしていない宣伝用の建物だといわれていた。実際、新しく建設された高層マンションへの入居はまだ完了していないようだ。しかし、昼間でも明かりをつけている家が見え、子どもを背負った高齢女性の姿も確認できる。もちろん、丹東市の人々の間からも懸念の声は上がっている。

それでも、新義州市の住民が実感する経済状況は改善したという。丹東市には、新義州市に親戚がいる朝鮮族が多い。新義州で国際学校に通い、現在は丹東市の大型飲食店で働いている女性従業員は「新義州に住む友人たちは、食べて暮らすことに大きな問題はないと言っている。最近、中朝交流が増え、暮らし向きがさらに良くなるだろうという期待が高まっている」と話した。実際、新義州中心部の建物やマンションに設置されたエアコンが大幅に増えていることが確認できた。

新義州を訪れた北朝鮮の観光客が、鴨緑江で遊覧船やボートに乗る様子=筆者提供(c)news1
新義州を訪れた北朝鮮の観光客が、鴨緑江で遊覧船やボートに乗る様子=筆者提供(c)news1

最近、平壌を訪れた丹東の貿易業者たちも、口をそろえて平壌は大きく変わったと伝えた。

「平壌では物資不足を感じなかった。電力事情も、平壌中心部と新たに建設された和盛地区では大きな問題はなかった。平壌市内の道路では交通渋滞が発生し、車両の運行を二部制にすることもある。自家用車が1万台以上普及したことで現れた現象だ」

ここ数年、北朝鮮ウォンが急落した。新型コロナウイルス感染症の事態直後には1ドル当たり約8000ウォンだった為替レートが、6万5000ウォンまで落ち込んだ。これについて、一部では北朝鮮経済が危機に直面したと分析している。しかし、丹東で会った人々の見方は異なっていた。ある朝鮮族の貿易業者は「韓国でもドルが大きく上昇しているように、世界的なドル高傾向が基本的に北朝鮮経済にも反映されている」とし、中朝貿易の活性化に対する期待感も一つの要因として作用していると分析した。

北朝鮮ウォン安に伴い、輸入原材料に依存する商品や輸入物資の価格も大きく上昇した。それでも、外部で懸念されているほど、北朝鮮ウォン安が庶民経済に及ぼす影響は大きく表れていないという。

ある貿易業者は「物価が大幅に上がったのは事実だが、外貨を基準に換算してみると、大きな変動はない。平壌をはじめとする主要都市に住む人々は、基本的に外貨を持っていたため、為替レートが変わっても生活が苦しくなるわけではない」と伝えた。

この貿易業者は続けて「北側の貿易業者たちと話してみると、大都市の場合、月1000ドル程度あれば携帯電話も買え、時々外食もしながら、どうにか暮らしていけるという」と伝えた。

それでも、コメ価格をはじめ物価が大幅に上昇しているなか、庶民はどのように耐えているのだろうか。穀物価格は、2023年に比べ、現在は約3倍に上昇したと推定される。労働者の賃金は10~20倍に引き上げられたが、市場価格で換算すれば、2~3日分のコメしか買えないほどの水準にすぎない。

丹東のある貿易業者は「北朝鮮住民のほぼ半数が栄養失調に陥っているという報道を見た。穀物価格と賃金を単純に計算すれば、そのような分析も可能だ」としながらも、「しかし、資本主義社会の労働者とは異なり、北朝鮮住民は中国と同様、賃金だけで生活しているわけではない。北朝鮮の政務員、つまり公務員や軍人、軍需企業の関係者などには、国家が基本的な生活必需品を現物配給、安価で販売しており、工場や企業所も独自に労働者へ供給している。基本的に、北朝鮮の勤労者は市場でコメを買って食べているわけではないと考えるべきだ」と話した。

威化島下端里に新たに建設されたマンションに入居した住民の様子=筆者提供(c)news1
威化島下端里に新たに建設されたマンションに入居した住民の様子=筆者提供(c)news1

しかし、それでも理解しにくい部分があった。筆者の表情を見た彼は「経済全体の流れを見なければならない」と説明を付け加えた。

「穀物や物資が絶対的に不足し、政府や企業所が規定どおりに供給できなかった時期は非常に厳しかったが、今は確実にその段階を脱した。経済は数年にわたって成長しており、穀物生産量も着実に増えている。まだ正常に稼働していない工場や、生産性の低い農場では、依然として生活が苦しいという話もあるが、全体として見れば、住民の生活水準や購買力は高まる傾向にある」

北朝鮮の農村社会は、さまざまな面で立ち遅れている。北朝鮮もこれを意識したのか、2024年から「地方発展20×10政策」を国家の重点事業として推進している。当初の構想は、毎年20の市・郡に、今後10年間にわたって近代的な地方工場を建設するというものだったが、その後、地域拠点病院や総合サービス施設の建設へと政策目標が拡大された。

特に北朝鮮は、総合サービス施設の建物に総合商店を設け、これとは別に地域ごとに穀物管理所と食糧供給・販売所を建設し、地域市場へ流出する穀物や商品を統制し始めた。これに伴い、一部の地域市場が閉鎖され、市場で流通する穀物の量自体も大幅に減ったという。

貿易業者は「最近、北朝鮮の市場を訪れた貿易業者たちの話を聞くと、市場で穀物を売る売り場を見つけるのは難しいという。当局が国営商店を通じた流通網を拡大し、食糧供給所を通じた食糧販売によって穀物統制を強化しているのだ」と話した。

慈江道満浦市を訪れた丹東のある貿易業者は「地方発展20×10政策」が数年にわたって安定的に進められ、北朝鮮の農村が大きく変化していると話した。「北朝鮮の農村住宅は、建てられてから30年以上たつものが大半だが、経済的な余裕がないため、改修事業をできなかった。このような状況で、国家が一部の使用料だけを受け取り、新しい住宅を建設して供給するのだから農民の満足度が高まるのは当然だ」

農民の現金収入も増えたという。コメ価格が急騰しているため、コメを現物で保有している農民の収入が増えるのは自然な現象だということだ。

「政府が途方もなく安い国家公定価格でコメを買い上げるのは昔の話だ。農場管理委員会のレベルで、農民の余剰穀物を集め、企業や市場に市場価格で販売し、現金収入を増やす動きも現れている」

丹東の人々が語る北朝鮮住民の生活経済に関する話を聞いていると、韓国内外の北朝鮮経済分析との間に大きな隔たりを感じざるを得なかった。丹東で会った人々は、まったく異なる視点から北朝鮮を見るべきだと話す。北朝鮮経済を資本主義的な視点ではなく、社会主義的な視点から見なければ、実際の生活経済は理解できないということだ。

キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は16日、中朝友好協力相互援助条約締結65周年に合わせて北朝鮮を訪問した王滬寧氏と会談した席で「社会主義を核心とする伝統的な友好協力関係を、時代の要求と両国人民の志向に合わせ、さまざまな分野にわたってより活力あるものへ発展させることは、確固不動の方針だ」と述べた。ここで注目すべき点は「社会主義を核心とする協力関係」という発言だ。

開城市開豊区域の地方工業工場で生産されたしょうゆを見ている北朝鮮住民=労働新聞(c)news1
開城市開豊区域の地方工業工場で生産されたしょうゆを見ている北朝鮮住民=労働新聞(c)news1

私たちは、北朝鮮が体制の構造改革をせず、財政投入だけで持続的な経済成長を達成することは難しいと考えている。しかし北朝鮮は、ロシアとの関係緊密化や中朝貿易の拡大など、対外環境の改善によって得た自信を背景に、社会主義経済を強化する方向へ進んでいる。

鴨緑江沿いを一緒に歩きながら、丹東のある貿易業者が話した言葉を思い出す。

「韓国の経済専門家が貿易統計や経済指標などを根拠に北朝鮮経済を分析することも、まったく意味がないわけではない。しかし、実際の北朝鮮住民の暮らしを知るためには、社会主義経済がどのように機能しているのかを、まず理解しなければならない。個人的には、北朝鮮経済の将来を悲観的には見ていない。経済の規模と水準から見れば、北朝鮮は中国、ロシア、ベトナムなど、過去に社会主義を経験した国や、現在も社会主義を掲げる国との経済協力だけでも、ある程度は経済成長を持続できると考えている」【平和経済研究所 チョン・チャンヒョン所長】

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