【8月4日 東方新報】この夏、欧州の猛暑を受け、ミスト付き日傘や首掛けファンなど、浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)発の「暑さ対策グッズ」が好調な売れ行きを見せている。また、サッカーW杯北中米大会(2026 World Cup)の盛り上がりに合わせ、「ストレス解消サッカーボール」やペット用ユニフォームといったユニークな関連商品も世界で人気を集めている。話題を追いかけるだけでなく、新たなアイデアを生み出す都市へ。義烏で広がるイノベーションの波が、輸出産業の高度化を後押ししている。

義烏第6世代市場「グローバル・デジタル貿易センター」を訪れると、多くの若い事業者が、クリエーティブ玩具やスマート機器などの新分野で海外市場に挑んでいる。

「沁溢香氛」の店舗には、果物やスイーツをモチーフにしたアロマキャンドルが数多く並ぶ。店主の陳嫻(Chen Xian)氏は「親世代は建材業を営んでいましたが、私はフレグランスのような感情価値を重視する商品に魅力を感じています」と話す。同店ではデザインチームとAIツールを活用して毎週新商品を投入し、国や地域ごとの好みに合わせた商品開発も進めている。

一方、「亦莎珍珠」の店舗には若い来店客が絶えない。中国の伝統演劇で武芸に優れた女性役を指す「刀馬旦」をモチーフにしたオリジナルシリーズのアクセサリーは特に人気だ。店主の孫霊娟(Sun Lingjuan)氏は「すでに米国、シンガポール、欧州連合(EU)などで商標登録を申請しており、今後はブランドの海外展開をさらに加速させたい」と語る。第6世代市場では、若い経営者や新世代の事業者が全体の半数以上を占め、自社ブランドを展開する店舗も半数を超えている。

こうした自由な発想を素早く商品化できる背景には、柔軟なサプライチェーンの進化がある。

南アフリカのバイヤー、ハノ・ラトゲン(Hanno Ratgen)氏は、毎年、義烏の浙江高普服飾有限公司から数万個の帽子を仕入れている。今年工場を訪れた際、デジタル化された生産ラインが導入され、帽子1個の生産期間が従来の3日間からわずか3時間へ短縮されていたことに驚いたという。「参考写真を送った翌朝には、工場で試作品が完成していました」と同氏は語り、「義烏スピード」が新商品の市場投入を大きく後押しすると期待を寄せた。

デジタル技術の進化も、流行商品を世界の消費者へ届ける力を高めている。グローバル・デジタル貿易センターには5G通信、10ギガ級光回線、越境データ専用回線が整備され、多くの事業者が越境ライブコマースやオンラインでの商品選定など、新たなビジネスモデルを展開している。また、市場内のスマートシステムにはAIによる案内、商品提案、データ分析機能などが搭載され、より正確で効率的な需給マッチングを実現している。

大胆な発想を形にする力が、義烏の貿易に新たな成長エンジンをもたらしている。統計によると、今年1~5月の義烏市の輸出額は3154億元(約7兆5363億円)に達し、前年同期比9%増となり、同時期として過去最高を更新した。(c)東方新報/AFPBB News