控訴審判決に関する記者会見で、出席者の発言を聞くドキュメンタリー監督のチョン・ユンソク氏(c)news1
控訴審判決に関する記者会見で、出席者の発言を聞くドキュメンタリー監督のチョン・ユンソク氏(c)news1

【07月23日 KOREA WAVE】ソウル西部地裁で起きた乱入事件を撮影し、建造物侵入罪で罰金刑が確定したドキュメンタリー監督のチョン・ユンソク氏について、韓国の憲法裁判所が「最高裁判決の取り消しを求める憲法訴願」の本案審理を始める。

韓国では日本の最高裁にあたる大法院とは別に憲法判断を専門とする憲法裁判所が存在する。最高裁で確定した判決の取り消しを求める訴えに対し、同裁判所が本案審理に入るのはきわめて異例の展開だ。

審理をするにあたり、まずは裁判官3人で構成され形式的要件のチェックや却下判断をする事前審査機関「指定裁判部」で協議された。その結果、本件は本格的な審理に値すると判断され、憲法裁判所の裁判官9人全員によって構成され、実質的な口頭弁論や違憲判断などを担う本論の審理機関「全員裁判部」へ付託された。

今後はこの全員裁判部において、表現や芸術の自由と、建造物侵入という法的責任とのバランスをどのように取るかが多角的に検討される。

本件の背景には、2024年末に宣言された非常戒厳令に関連する事態がある。

チョン氏は2025年1月19日、ソウル西部地裁で起きた乱入事件の現場を撮影していた際、地裁の敷地内へ入ったとして建造物侵入の罪に問われた。裁判でチョン氏は、歴史的な出来事を記録するための撮影であり警察への暴力行為などもしていないとして無罪を主張したが、1審および2審はともに罰金200万ウォン(約22万円)の有罪判決を言い渡した。

2審判決は、チョン氏が歴史的現場を記録するという使命感から敷地に入り、乱入した群衆とは距離を置いて撮影のみをしていた事実自体は認めたものの、当時の現場の状況や本人の認識に照らすと侵入の故意があったと判断した。また、ドキュメンタリー撮影における表現や芸術の自由を勘案しても、他人の法的利益を侵害した行為には制裁が科されるべきだと説明した。

最高裁判所も下級審の判断に誤りはないとして有罪判決を確定させたが、チョン氏は判決が表現の自由を不当に侵害しているとして憲法裁判所に訴えを起こした。

憲法裁判所は申し立てから約2カ月という異例の早さで本案審理の決定を下し、チョン氏の撮影行為について芸術活動にとどまらず公的記録としての意義も併せ持つと捉え、多角的に検討する姿勢を示した。これを受け、チョン氏の代理人団は憲法や国際人権基準に沿った判断によって判決が取り消されることへの期待を表明している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News