全羅南道高興郡の羅老宇宙センターから打ち上げられる韓国型ロケット「ヌリ号」(c)NEWSIS
全羅南道高興郡の羅老宇宙センターから打ち上げられる韓国型ロケット「ヌリ号」(c)NEWSIS

【07月23日 KOREA WAVE】韓国防衛産業界で、韓国航空宇宙産業(KAI)の買収可能性が再び注目されている。

世界の防衛企業が合併・買収(M&A)で規模を拡大するなか、韓国でもKAIを軸とした業界再編の可能性が取り沙汰されているためだ。韓国唯一の完成航空機メーカーであるKAIを傘下に収めた企業は、航空・宇宙・防衛を網羅する「韓国版スペースX」へ成長できるとの見方もある。

世界の防衛市場は、兵器システムの競争を越え、ロケットや衛星、人工知能(AI)、データサービスを組み合わせたプラットフォーム競争へ急速に移行している。ロッキード・マーチン、RTX、ノースロップ・グラマン、エアバスなどは大型M&Aで競争力を高めてきた。

韓国でも防衛企業の大型化が進むなか、KAIは戦闘機、ヘリコプター、衛星の開発能力を備えた重要な戦略資産と評価されている。業界では、航空宇宙分野の競争力を完成させる「最後のピース」とみられている。

KAIは1999年、政府主導の航空産業再編により、サムスン航空、大宇重工業、現代宇宙航空の航空部門を統合して発足した。現在は韓国輸出入銀行が26.41%、国民年金が約8.7%を保有するなど、公共部門の持ち分は約35%に上る。一方、「明確なオーナーがいない企業」とされる統治構造の限界から、民営化論が繰り返し浮上してきた。

韓国航空宇宙庁の発足後、政府が民間主導の「ニュースペース」育成を加速させていることから、KAI買収は以前より現実味のあるシナリオとして語られている。ただし、韓国輸出入銀行は売却計画はないとの公式見解を維持している。

買収に最も積極的な動きを見せているのはハンファグループだ。

ハンファ・エアロスペースとハンファシステムは現在、KAI株式の12.44%を保有しており、2026年末までに約5000億ウォン(約550億円)を追加投資し、15%以上へ引き上げる計画だ。市場では、将来政府がKAIの民営化を進める場合に備えた布石との見方が出ている。

このほか、先進航空モビリティー(AAM)と防衛事業を育成する現代自動車グループや、航空プラットフォームの確保を目指すLIGディフェンス&エアロスペースも潜在的な候補として挙げられている。

KAIとLIGネクスワンは超小型の合成開口レーダー(SAR)衛星開発など、宇宙事業での協力を拡大し、ハンファの垂直統合に対抗している。

ただ、KAIの売却は決定事項ではない。韓国政府の防衛産業競争力強化策と業界再編の方向性が、買収競争の行方を左右する最大の変数となる。

業界関係者は「世界の防衛企業はM&Aによって航空・宇宙・防衛を網羅する統合競争力を構築してきた」とした上で、「韓国でも宇宙航空時代を迎え、KAIを中心とする産業再編の議論が続く可能性がある」と述べた。

(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News