【7月31日 東方新報】「スマートパートナー・共に未来を創る」をテーマとする2026世界人工知能大会(WAIC)が7月17日から20日まで上海市で開催された。展示面積は10万平方メートルを超え、1100社以上が3000点を超える製品を出展し、300点以上が世界初公開された。

今年の大会では、大規模言語モデルの性能競争や技術展示が中心だったこれまでとは異なり、AIが「会話できる」段階から「実際に仕事をこなす」段階へ進化し、単なるツールからパートナーへと変化しつつあることが大きなテーマとなった。

AIの進化を支える計算資源(コンピューティングパワー)の分野では、200社を超える企業が参加した。中国GPUメーカーの沐曦(MetaX)は、高密度配置や大規模GPUクラスタに対応する新製品「曦景S600」を発表。共同創業者兼CTOの彭莉(Peng Li)氏は、中国製AIチップは基盤技術の確立段階を終え、今後は大規模運用への移行が課題になるとの見方を示した。

AIの発展にはデータの保存・管理も欠かせない。米ウエスタンデジタル(Western Digital)のティム・ラウシュ(Tim Rausch)上級副社長は、AIは計算システムであると同時にデータシステムでもあり、AIとのやり取りによって新たなデータが蓄積され続けるため、効率的なデータ管理が重要になると指摘した。同社はHDDとフラッシュメモリーを組み合わせたデータ管理技術を紹介した。

AI端末もデジタル空間から現実世界へ広がっている。栄耀(HONOR)の李健(Li Jian)CEOは、「AIは冷たいツールではなく、人に寄り添うパートナーへ進化する」と述べた。会場では世界初の「Robot Phone」が公開され、複数の作業を自律的に実行するデモンストレーションが行われた。

具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)も大会の主要テーマの一つとなった。物流ロボット企業の北京極智嘉科技(Geek+)は、長時間かつ複雑な作業に対応する統一型具身型AIフレームワーク「Gravity」を発表した。認知と行動を分担する「デュアルブレイン」構造を採用し、ロボットが行動前に結果を予測できる仕組みを備える。世界1700件以上の物流プロジェクトで蓄積したデータを活用し、実用化を加速させる方針だ。

AIの応用は自動車分野にも広がっている。芯驛電子は、FPGA技術を活用した電子ミラー(CMS)システムを展示した。高精細映像処理により、運転支援に必要な映像情報をより安定して提供する。

教育分野でもAIの活用が進む。与愛為舞は学習支援AI「愛学AI」を初公開した。学習者がAIに考え方を説明すると、AIが質問を重ねながら理解を深める仕組みで、学生一人ひとりに合わせた学習支援を行うという。

AIがさまざまな産業で実用化される中、国際協力の重要性も強調された。今大会には1400人を超える海外ゲストが参加した。ロシア最大手銀行スベルバンク(Sberbank)は、ロシア語向け大規模言語モデル「GigaChat」とヒューマノイドロボット「Green」を展示した。同社幹部は、中国のオープンな技術政策により、世界中の開発者が中国企業の技術を活用してイノベーションを進められるようになっていると評価した。

中国のAI中核産業の市場規模は2025年に1兆2000億元(約28兆8134億円)を超え、関連企業は6200社以上となった。上海市静安区ではAIイノベーション実証区の整備も本格的に進められている。

今回の大会は、計算資源、データ管理、AI端末、具身知能、教育、自動車など幅広い分野での実用化を通じ、AIが「ツール」の時代から「パートナー」の時代へ移行しつつあることを示した。上海は実際の利用シーンを軸にAIの社会実装を進め、世界のAI産業の発展を後押ししている。(c)東方新報/AFPBB News