【7月22日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、国民の間で人気の高い若手ミハイロ・フェドロフ前国防相(35)を更迭したことによる政治危機の末、同国防相と対立していたオレクサンドル・シルスキー軍総司令官(60)を解任し、後任にミハイロ・ドラパティ統合軍司令官を充てると発表した。

シルスキー氏は2024年から総司令官を務め、2022年のロシアによる全面侵攻開始時には首都キーウの防衛戦を指揮するなど、ウクライナ軍で最も経験豊富な指揮官の一人だった。

シルスキー氏の解任は、フェドロフ前国防相の更迭に抗議するデモが連日発生したことを受けたもの。フェドロフ前国防相は、シルスキー氏が軍改革の試みを妨害し、自身を更迭に追い込んだと批判していた。

ゼレンスキー氏はテレグラムで、「ウクライナ軍の新たな総司令官にミハイロ・ドラパティ氏を任命することを決めた」「ウクライナの強固な前線を維持してくれたオレクサンドル・シルスキー氏とすべての兵士に感謝する」と投稿した。

シルスキー氏の進退に関する議論は先週、任命からわずか6か月で国民の間で人気が非常に高かったフェドロフ前国防相がゼレンスキー氏によって更迭されたことで表面化した。

軍の近代化を推し進めたフェドロフ前国防相は軍指導部と対立し、シルスキー氏が自身のアイデアの実行を妨害してゼレンスキー氏に自身の更迭を働き掛けたと主張していた。一方、シルスキー氏はこれを否定していた。

この対立は、前線でロシア軍の進撃を減速させ、ロシア国内の製油所へ長距離攻撃を行うなどウクライナ側が戦況を有利に進めていた時期に、同国の軍・政治指導部内の異例の亀裂を浮き彫りにすることとなった。

8日のフェドロフ前国防相の更迭以降、軍改革の停滞に不満を募らせた何千人もの市民がウクライナ全土で抗議デモを展開し、シルスキー氏の解任を求めていた。

政治的野心を持つ人物を警戒するとされるゼレンスキー氏はこれまで、職業軍人であるシルスキー氏の解任要求を拒否していた。アナリストによると、シルスキー氏は同じく解任された前任者で、国民の間で人気が極めて高いバレリー・ザルジニー元軍総司令官と異なり、ゼレンスキー氏にとって政治的脅威ではなかったという。

だが、シルスキー氏は人的損失の大きさを軽視し、調達や装備、動員に関する軍の改革を停滞させているとして強い批判を浴びていた。(c)AFP