北朝鮮、タングステン輸出額が約10倍に…通貨安と物価高は改善せず
このニュースをシェア
【07月22日 KOREA WAVE】北朝鮮経済は2026年上半期、ウォンの大幅な価値下落に伴う物価上昇が続く一方、タングステンの対中輸出が急増した。国際価格の上昇で外貨収入は増えたものの、通貨安やインフレを抑えるには不十分で、輸出の好調は経済の安定につながらなかったとの分析が出ている。
米国の北朝鮮専門サイト「38ノース」によると、北朝鮮の市場為替相場は1月の1ドル約3万7250ウォンから、5月には約7万800ウォンへ約90%上昇した。コメやトウモロコシ、ガソリン、軽油など主要生活必需品のウォン建て価格も約2倍になった。
一方、ドル建て価格の上昇は比較的小さかった。このため38ノースは、物価高の主因は食料や燃料の不足ではなく、ウォンの価値下落による通貨不安だと分析した。
背景には、国家主導の大規模建設や地方開発、国営部門の賃上げによる通貨供給の拡大があるとみられる。北朝鮮は2023年末以降、公共部門の名目賃金を約10倍、一部の優先部門では最大40~50倍に引き上げたとされる。生産の増加を伴わないまま通貨供給が増え、為替相場と物価を同時に押し上げた可能性がある。
外貨を保有する商人や富裕層は購買力をおおむね維持したが、ウォンで賃金を受け取る国営企業の労働者らは、食料や燃料の値上がりで実質所得が減少したと分析された。
対外貿易では、タングステンが輸出を押し上げた。1~5月の対中輸出額は前年同期比68%増の2億8700万ドル(約425億円)で、このうちタングステン鉱石は約8800万ドル(約130億円)と全体の約3分の1を占めた。前年同期の約900万ドル(約13億円)から約10倍に増えた。
ただ、輸出量の増加は約15%にとどまり、収入増の約98%は価格上昇によるものだった。平均輸出単価は1キロ約8ドル(約1186円)から約70ドル(約1万374円)に急騰した。
中国が2025年からタングステン製品に輸出許可制を導入し、2026年に規制を強化したことで国際価格が上昇し、北朝鮮が反射的な利益を得たとみられる。
それでも、価格上昇による月平均の輸出収入増加分は約1600万ドル(約24億円)にとどまり、月平均約1億9400万ドル(約288億円)の対中輸入額と比べると限定的だった。
38ノースは、タングステン輸出の好調は外為市場を安定させる規模ではなく、ウォン安や物価上昇の緩和にもほとんど寄与しなかったと指摘した。国際価格に左右されるため、長期的な景気回復の基盤とみるのは難しいとしている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News