【7月19日 AFP】英国で導入が計画されていた全国規模のデジタル身分証(ID)制度について、次期首相に就任するアンディ・バーナム氏が計画を白紙撤回(棚上げ)する方針であることが分かった。同氏の報道官が18日、明らかにした。

20日に退任する労働党のキア・スターマー首相は、不法移民を抑制する目的で、昨年9月にこの計画を発表していた。

しかし、身分証明書(身分証の携帯)に対して抵抗感の強い英国では、この動きは大きな反対に直面していた。

バーナム氏の報道官は「全国的なID制度に費やされる予定だったすべての時間と資源は、生活費への支援など、最も必要とされている場所に投入されることになる」と述べた。

バーナム氏は、長期化する生活費危機の中で政権を引き継ぐことになる。この問題は、スターマー氏がここ数十年の首相の中で「最も不人気な首相の一人」となる一因となっていた。

バーナム氏の最優先事項は、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、エネルギーや食品価格の高騰に苦しめられている有権者のため、経済を活性化させ、生活水準を向上させることになるとみられる。

声明では、デジタルID計画は撤回するものの、新政権はスターマー氏の成果を引き継ぎ、不法就労の取り締まりは継続すると付け加えられた。

そもそもこの計画は、スターマー氏が2029年までの導入を目指していたもので、義務化はされないものの、就労資格を証明するために必要になるとしていた。

デジタルIDを整備するために、3年間で18億ポンド(約3900億円)の費用がかかるとされていた。(c)AFP