北朝鮮が朝鮮戦争の「勝利」の歴史を記録したと主張する祖国解放戦争史跡地=労働新聞(c)news1
北朝鮮が朝鮮戦争の「勝利」の歴史を記録したと主張する祖国解放戦争史跡地=労働新聞(c)news1

【07月19日 KOREA WAVE】北朝鮮では毎年7月になると、朝鮮労働党機関紙・労働新聞に似た内容の記事が繰り返し掲載される。祖国解放戦争勝利記念館を訪れる学生や、朝鮮戦争の参戦兵をたたえる行事、戦争英雄の逸話、各地の革命史跡地を巡る活動などだ。

北朝鮮が「戦勝節」と呼ぶ7月27日の朝鮮戦争休戦協定締結日を前にした恒例の光景で、1日限りの記念行事ではなく、7月全体を「戦勝節シーズン」として運用している形だ。

この時期、北朝鮮メディアは勝利記念館を繰り返し取り上げ、「戦勝世代の魂と精神」を受け継ぐよう強調する。金日成総合大学の教員や学生が戦時中に立てた功績を紹介し、若者による記念館や史跡地の見学、参戦兵との交流行事も各地で続く。

これらに共通するメッセージは、戦争は終わった過去ではなく、現在も続いているというものだ。住民が1カ月にわたり戦争の物語の中で暮らすようにし、国家全体を長期の政治教育に参加させる狙いがある。

こうした宣伝活動は、キム・ジョンウン(金正恩)政権に入ってさらに強まった。以前は「勝利」の歴史そのものを記念することに重点が置かれていたが、現在はその記憶を核戦力強化や国防力増強、経済難の克服といった政策に結び付ける例が増えている。

いずれも「戦勝世代が血で守った党と国家を引き継ぐ道」と説明され、過去の勝利が現在の政策を正当化する政治的資産として使われている。

背景には世代交代もある。朝鮮戦争を直接経験した世代の多くが高齢となり、第一線を退いた。その空白を国家的な宣伝活動が埋めている。労働新聞が記憶を呼び起こし、記念館がそれを展示し、学生の見学や政治学習を通じて繰り返し浸透させる仕組みだ。

そのため、勝利記念館は単なる博物館ではなく、革命史跡地も観光地にとどまらない。北朝鮮が過去を現在へ引き寄せ、未来を構想するとともに、若い世代へ体制が求める歴史認識を教え込む教育施設として機能している。

北朝鮮にとって7月は、過去を追悼するだけの時期ではない。戦争の記憶を現在の統治に利用し、政策への支持と住民の結束を引き出す宣伝の期間となっている。【news1 キム・イェスル記者】

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News