北朝鮮、「地方発展20×10政策」で市場再編か…自由市場への統制強化の見方
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【07月15日 KOREA WAVE】北朝鮮が「地方発展20×10政策」に基づき、地方の市場を撤去し、複合利便施設「総合サービス施設」内に新たな市場を整備しているとの分析が示されている。国家の統制が十分に及ばない従来の市場を、政府が管理する市場へ置き換えることで、「自由市場」に対する統制を強める狙いがあるとの見方だ。
米国の北朝鮮専門メディア「NK News」が、民間衛星企業プラネット・ラブズとマクサー・テクノロジーズの衛星画像を分析した結果、2025年に初めて総合サービス施設が建設された江東郡、開豊郡、定平郡のうち、江東郡と開豊郡では既存の市場が撤去されたことが確認された。定平郡でも市場の一部が撤去されたという。
新たな市場は、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が重点事業として進める「地方発展20×10政策」の一環として各地に建設されている総合サービス施設内に設けられている。総合サービス施設は、北朝鮮が各市・郡で建設を進める近代的な複合利便施設で、平壌と地方の生活格差を縮小することを目的として導入が進められているとされる。
地方発展20×10政策は2024年に始まった。当初は毎年20の市・郡に10年間かけて近代的な地方工場を建設する構想だったが、その後、地域拠点病院や総合サービス施設の建設へと対象が拡大した。
NK Newsによると、現在この政策の対象となっている21の市・郡では、既存の市場はまだ維持されているとみられる。江東郡、開豊郡、定平郡では、総合サービス施設が2025年12月に開設された後、約4カ月後の2026年4月に市場が撤去されたことが確認された。
市場は、1990年代半ばの「苦難の行軍」と呼ばれる経済危機の時期に各地で自然発生的に誕生した非公式市場で、北朝鮮経済や住民生活を支える重要な存在となってきた。北朝鮮当局は当初、市場を厳しく取り締まっていたが、拡大を止められなかったことから、制度の枠内に取り込んで管理する政策を進めてきた。
NK Newsは、当局の管理下では、商人が使用料を支払って確保した商品を販売し、当局は価格を統制する形で市場が運営されてきたと伝えている。
世宗研究所朝鮮半島戦略センターのピーター・ワード研究委員はNK Newsに対し、「市場を総合サービス施設内へ移すことは、国家による統制強化の一環だ」と指摘した。その上で、「市場は国家組織の外で住民が信頼関係や情報網を築く『第三の空間』となっており、キム・ジョンウン政権にとって潜在的な脅威となっている」と説明した。
さらにワード氏は、「地方発展20×10政策は、1990年代に配給制度が崩壊した後、市場経済に依存するようになった住民生活を再び国家主導へ戻そうとする試みだ」と評価した。
一方で、住民の反応などを踏まえ、新たな市場が完全に当局主導で運営されるのか、それとも従来の市場運営の仕組みを一部取り入れ、既存の商人に配慮した制度となるのかは、現時点では明らかになっていない。移行には一定の時間を要するとの見方も出ている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News