【7月11日 AFP】フィリピン政府は10日、中国の学者らがフィリピン最北バタネス州のバタン諸島は「中国領」だと主張したことに対し、何の根拠もないと反発した。

バタン諸島は、中国が自国領土の一部とみなす台湾の南方200キロ未満に位置している。直近では4月にもフィリピンと米国の合同軍事演習が行われた。

6月末、中国南部・広東省の曁南大学が「学者や専門家」10人以上が参加するシンポジウムを開き、バタン諸島は台湾の地理的延長にあるとしてバタン諸島は「中国領」だと結論付け、フィリピンの歴史的権利に異議を唱えた。中国の一部メディアが今週報じた。

これが中国政府の公式見解を反映したものかを問われると、中国外務省は「学界の見解にはコメントしない」と回答した。

だが、フィリピンのエドゥアルド・オーバン国家安全保障担当顧問は10日、中国のバタン諸島に対する領有権の主張には「何の根拠もない」が、フィリピンはこの問題を深刻な懸念事項として捉えており、「存在しない曖昧さをでっち上げるために偽りのナラティブ(物語)が繰り返されるのを看過することはできない」と述べた。

フィリピン海軍の南シナ海担当報道官を務めるロイ・ビンセント・トリニダード少将は、このシンポジウムの結論を「サラミ戦術」の一種だと非難した。

サラミ戦術とは、一度に大きな目標を達成しようとせず、サラミを薄くスライスするように小さな要求や行動を段階的に積み重ねることで、相手に気づかれないまま領土を拡大する中国の試みを指す言葉だ。

フィリピン外務省は、バタン諸島に対するフィリピンの主権は「決着済みで、議論の余地はない」と述べた。

曁南大学の声明は10日までに取り下げられたもようだ。

AFPが9日に確認したところ、同声明は広州市で6月30日に開催されたこのシンポジウムについて、フィリピンと日本が5月に台湾東方海域における海洋境界画定交渉の開始で合意したことを問題視して開かれたと記している。日比のこの動きに中国政府は猛反発していた。

フィリピンと中国は南シナ海で領有権を争っている。

国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海での中国の海洋進出をめぐり、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」について「法的根拠がない」と断定している。それにもかかわらず、中国は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張している。(c)AFP