ノスタルジー消費が急拡大 なぜ「思い出」が売れるのか
このニュースをシェア
【7月18日 東方新報】最近、「懐旧経済(ノスタルジー消費)」が注目を集めている。かつて電子廃品のように扱われていたCCDセンサーカメラはレトロアイテムとして人気となり、100元(約2376円)程度だったアイフォーン(iPhone)4は1000元(約円)以上で取引されるケースもある。20年前の流行音楽が音楽ランキングをにぎわせ、「千禧年」と呼ばれる2000年代のファッションやY2Kメイクも再び人気を集めている。
SNSでも、「やっと目が覚めたね。今は2000年の何気ない午後だ」「戻ることはできても、そこにはもう誰もいない」「チャイニーズ・ドリームコア」といった話題が広がっている。投稿には、パソコン教室、昔の住宅、新聞スタンド、QQ秀(中国のチャットアプリ「QQ」のアバター着せ替えサービス)、子どもの頃のお菓子や玩具、懐かしのアニメなど、十数年から二十年前の記憶を呼び起こすものが並び、多くの共感を集めている。
1980年代生まれ、1990年代生まれが消費の中心となる中、彼らとともに成長してきたモノや文化は、レトロ商品、文化IP、体験型コンテンツとして開発されている。ある調査会社のデータによると、2025年の懐旧経済の市場規模は3500億元(約8兆3194億円)を突破し、2030年には6000億元(約14兆2619億円)近くに達する見通しだ。懐旧経済は老舗ブランドの復活や中国伝統文化を現代風に取り入れた「国潮」商品の人気、中古市場の活性化にもつながっている。
こうした消費の背景には、「過去を深く振り返りたい」という若者の思いがある。忙しい仕事や複雑な人間関係の中で、単純だった子ども時代や学生時代を懐かしく思う人は少なくない。懐旧経済は、そうした感情を一時的に受け止める場所となり、多くの人の心の柔らかい部分に触れている。
同時に、懐旧経済は新たな「社交のきっかけ」にもなっている。同じ思い出を共有する人々をつなぎ、趣味や関心を軸にしたコミュニティーを生み出している。
市場が懐旧経済に注目する理由は、世代を超えて需要が続くからだ。現在は1980年代、1990年代生まれが中心だが、今後は成長した2000年代生まれが新たな消費の担い手となる。その時には、彼らが育った時代のモノや感情体験が、新しい「懐かしさ」の対象になる。
ただし、懐旧経済の価値は、単なる「昔の焼き直し」にあるわけではない。本当に重要なのは、一つの世代の共感や情緒を的確につかみ、「情緒的価値」を十分に提供できるかどうかだ。画一的なレトロ街区、同じような中古市場、高額な復古風のお菓子や電子製品ばかりでは、かえって消費者の体験を損なう恐れがある。
懐旧経済が長く発展するためには、同質化を避け、古いモノを単なる金もうけの道具にしないことが重要だ。思い出と現実が交わる中で、商業側には「懐かしさ」の扱い方が問われている。徹底した懐かしさと十分な実用性を両立できてこそ、本当に支持されるヒット商品を生み出すことができる。(c)東方新報/AFPBB News