130万人が被害 「クラウド養牛」詐欺
このニュースをシェア
【7月17日 東方新報】中国・南京市(Nanjing)に住む30歳の女性は、オンラインサービス「全民養牛(みんなで牛を育てよう)」を通じて、オーストラリアの牧場で17頭のアンガス牛を育てていると信じ、約8万5000元(約202万9324円)を投資した。契約では半年後に5~15%の利益が保証され、プラットフォーム側が契約違反をした場合は10%の違約金も支払われることになっていた。
しかし、いざ出金を申請すると、口座残高は「572.9キロ分の牛肉引換権」と「3万1847元(約76万328円)分の利用枠」に変わっていた。裁判所に訴えたところ、運営会社は経済犯罪の疑いで公安当局の捜査対象になっていることが判明した。
上海市徐匯区人民法院はこのほど、この「クラウド養牛」投資詐欺事件について一審判決を言い渡した。
捜査によると、「全民養牛」は2016年のサービス開始以来、「インターネット+農業」を掲げ、高利回り・低リスクをうたいながら130万人以上の利用者を集め、不正に約5億6000万元(約133億6966万円)を集めていた。事件発覚までに数万人の投資家が合わせて4000万元(約9億5497万円)以上の実害を受けたという。
従来の投資詐欺が高齢者を狙うケースが多かったのに対し、この事件では若年層の被害が目立った。被害者の約半数は1990年代生まれで、最年少は26歳だった。プラットフォームでは、最低5000元(約11万9372円)から牛を購入でき、飼育や販売はすべて運営会社が代行すると説明。利用者は牛の成長をアプリで確認でき、契約満了後には元本と利益を受け取るか、牛肉と交換できると宣伝されていた。
実際、投資初期には配当金が支払われたため、多くの利用者が追加投資を続けた。運営会社は「海外MBA取得」「オーストラリア牧場との提携」「メタバース養牛」「AI・ビッグデータ養殖」などを次々と打ち出し、ライブ配信や実店舗も活用して実在する事業であるかのように装っていた。
しかし警察の捜査で、オーストラリアなどに大規模牧場が存在するという説明は虚偽だったことが判明した。ライブ配信の映像は一時的に借りた牧場で撮影したものや、インターネット上の動画を流用したものだった。
2016年から2024年まで、このプラットフォームには実際の大規模牧場も飼育牛も存在せず、調達した資金のうち実際に牛肉購入へ充てられたのは約800万元(約1億9099万円)に過ぎなかった。残りの資金は、新たな投資家から集めた資金で既存投資家へ配当を支払う、いわゆるポンジ・スキームに使われていた。
近年、中国では「クラウド養殖」を悪用した投資詐欺が相次いでいる。専門家は、農業には生育期間が長いという特徴があるため、配当の遅れを「病気」「天候」「輸送トラブル」などの理由で説明しやすく、詐欺が長期間発覚しにくいと指摘する。最近ではAIで作成した家畜の映像や鳴き声、偽の飼育データまで利用するケースも確認されている。
専門家は、「クラウド養殖」は本来、インターネットと農業を組み合わせた新たなビジネスモデルとして発展の可能性がある一方、「元本保証」「高利回り」「リスクゼロ」といった宣伝には十分注意すべきだと呼び掛ける。投資する際は、金融業の許可を取得しているか、実際に牧場や農場が存在するかなどを十分確認することが重要だとしている。
一審判決では、主犯の張被告に対し、集資詐欺罪で懲役10年6か月の判決が言い渡された。(c)東方新報/AFPBB News