ソウル市江東区の培材高校前(c)NEWSIS
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【07月09日 KOREA WAVE】韓国の高校野球大会で起きた名門・培材(ペジェ)高校の生徒らによる「光州民主化運動(光州事件)」を揶揄・おとしめる応援騒動をきっかけに、韓国では学生の歴史意識を巡る議論が再燃している。教育省は近現代史の授業時数拡大などの強化策を打ち出しているが、教育現場からは「単に暗記する歴史の授業を増やすよりも、ネット上の歴史歪曲や嫌悪(ヘイト)表現を批判的に見極める『メディアリテラシー教育』や『民主市民教育』を優先すべきだ」との声が強まっている。

議論の発端は、先月29日にソウル木洞球場で開かれた青龍旗全国高校野球選手権大会だった。培材高の一部選手らが、対戦相手の光州第一高に向けて「行こう、スターバックスに行こう」という掛け声を連呼。これは、極右コミュニティなどで光州事件の犠牲者を嘲笑・ヘイトする際に使われる隠語とされ、強い批判を浴びた。ソウル市教育庁のチョン・グンシク教育監は2日、「現代史の痛みを正しく学び、他人の傷に共感する教育が実質的に必要だ」と訴えた。

背景にあるのは、学生たちの「学校外」での歴史認識の形成だ。江原(カンウォン)大学のパク・ジンドン教授らが昨年12月に中高生約1万1000人を対象に実施した調査によると、学生の42.3%が歴史に触れる主な経路として「YouTubeやショート動画」を挙げた。一方で、ネット上の情報が教科書と異なっていた際に「先生に質問する(7.0%)」「ネットや本で事実確認をする(19.8%)」と答えた学生は合わせて3割に満たず、歪曲された情報や嫌悪表現をそのまま受け入れるリスクが浮き彫りになった。

教室内での「嫌悪の遊び化」に苦慮する教師たちの実態も明らかになっている。全国教職員労働組合のアンケート(2025年12月~26年1月)では、実に80.2%の教師が「学校や教室で極右化された嫌悪表現を使う学生を目撃したことがある」と回答。こうした表現の15.0%を「政治・歴史の歪曲」が占めており、教師の約9割が事態を深刻に受け止めている。

こうした事態を受け、教育省は今年2月、中学校の歴史授業における近現代史の割合を現在の20%から30%以上に拡大し、「歴史コンテンツ批評・分析」科目を新設する方針を盛り込んだ活性化案を提出した。しかし、教育現場の受け止めは冷ややかだ。京畿(キョンギ)道のある歴史教師は「近現代史の比重を増やすことが、正しい歴史意識の育成に直結するわけではない。社会科にはメディアやネットコンテンツを独立して扱う科目がなく、コンテンツを批評する能力を育てる方が効果的だ」と指摘する。

また、教師が萎縮せずに教えられる環境づくりを求める声も上がっている。全教組ソウル支部は「現在の学校は、政治的な論争や保護者からの頻繁な苦情(クレーム)を恐れ、民主主義や歴史、人権の教育が萎縮する厳しい現実に直面している。教師が自己検閲に追い込まれている現状を改善しなければ、正常な市民教育の実践は難しい」と訴えている。

(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News