【三里河中国経済観察】計算力、西部発展の新たな柱に
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【7月13日 CNS】わずか9日間のうちに、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の高級副総裁で常務監事を務める任樹録(Ren Shulu)氏が、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)フフホト市(Hohhot)と貴州省(Guizhou)貴陽市(Guiyang)に相次いで姿を見せた。内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)と貴州省のトップらとそれぞれ会談したためだ。6月2日、内モンゴル自治区党委員会の王偉中(Wang Weizhong)書記と包鋼(Bao Gang)自治区主席はフフホトで任氏一行と会談。6月11日には、貴州省党委員会の徐麟(Xu Lin)書記と李炳軍(Li Bingjun)省長も貴陽で任氏と会談した。中国の主要な計算力ハブである二つの地域の党政トップが、同じファーウェイ幹部と相次いで会談したことは、どのようなシグナルを発しているのか。
内モンゴルでの会談では、「グリーン電力+計算力」が頻繁に言及された。王氏は、内モンゴルが国家プロジェクト「東数西算(東部のデータ処理を西部のデータセンターで行う)」の大きな機会を捉え、全国的なグリーン計算力の高地、データ産業の集積地、「グリーン計算力+人工知能(AI)」の応用拠点づくりを全力で進めていると述べた。その上で、ファーウェイに対し、クラウドデータセンター事業の建設を加速し、グリーン計算力、AI、データ取引などの分野で産業展開を拡大するよう期待を示した。
任氏は、内モンゴルは国家の八大計算力ハブの一つであり、十大データセンタークラスターの一つでもあるだけでなく、スマート計算パークに高比率、低コスト、安定的なグリーン電力を供給できる独自の強みを持っていると語った。2025年、内モンゴルの計算力産業の売上高は577億元(約1兆3818億円)に達し、前年同期比26.2%増となった。計算力の総規模は23.7万PFLOPSで、そのうちスマート計算は22万PFLOPSと全体の92%超を占め、全国首位となっている。
内モンゴルの目標は、豊富な風力や太陽光を電力に変え、さらに計算力、そしてトークンへと転換することだ。安価なクリーンエネルギーを、より高い価値を持つデジタル時代の「ハードカレンシー」に変える構想である。任氏も今回、ファーウェイがホリンゴル、ウランチャブなど重点地域での投資を強化し、「グリーン電力―計算力―モデル―産業」の全チェーン構築に深く関与していく考えを示した。
内モンゴルの切り札がグリーン電力だとすれば、貴州の強みはデジタル経済での先行優位と、データ・スマート化資源の蓄積にある。会談で徐氏と李氏は、スマート計算センターの建設、データ要素の市場化、大規模モデルの開発・応用、エコシステムパートナーの誘致などをめぐり、ファーウェイとの戦略協力をさらに深めたい考えを示した。
任氏も、ファーウェイは貴州と連携し、既存の協力を基礎に良好なエコシステムを築き、同省への投資と事業展開を拡大していくと応じた。より幅広い分野で貴州のデジタル経済発展に参画し、より高いレベルで互恵・ウィンウィンの発展を実現する考えだ。
二つの会談を比べると、内モンゴルと貴州はいずれも同じ課題に取り組んでいることが分かる。自らの資源面での強みを、計算力経済をけん引し、産業エコシステムを集め、地域競争力を再構築する中核エンジンへとどう転換するかという課題である。内モンゴルが掲げる兆元規模のデジタル産業クラスターにせよ、貴州が目指す計算力によるあらゆる産業へのエンパワーメントにせよ、その発展への決意は明確だ。
テクノロジー企業幹部の相次ぐ訪問は、市場からのシグナルであると同時に、地域競争力の風向きを示すものでもある。こうした転換は、中国の計算力地図を塗り替えつつある。内モンゴルのグリーン電力、貴州のデータエコシステム、さらに新疆やチベットで整備が進むグリーン計算力ハブ。かつて産業分業の中で資源供給地としての役割を担っていた中西部地域は、計算力という新たな競争分野を通じて、歴史的な役割転換を遂げようとしている。
自然資源をスマート資源へと転換する力を持つ地域こそ、新質生産力への入場券を手にすることになる。風や光がトークンに変わり、データとモデルが新たな工業製品となる時代に、地域競争の論理は静かに書き換えられている。
テクノロジー企業の幹部がこれらの省区を頻繁に訪れるのは、偶然の商業訪問ではない。それは、未来の計算力の地理的配置をめぐる先取りの動きである。グリーン電力の限界コスト、データ制度上の優位性、冷涼な気候という自然条件が、いま改めて「立地優位」とは何かを定義し直している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News