【7月8日 AFP】ローマ・カトリック教会のクリストバル・ロペス・ロメロ枢機卿(74)が7日、少なくとも5人の女性から同枢機卿から性的暴行を受けたと告発されているとのAFPの調査報道を受け、退任する意向を表明した。

ロペス枢機卿はスペイン出身で、モロッコ・ラバト教区の大司教を務める。フランシスコ前教皇の後継者候補として名前が挙がっていた。

同枢機卿は疑惑を全面的に否定している。

女性の一人は今年5月、ロペス枢機卿から性的ないたずらを受けたとして、モロッコのバチカン大使館に告発状を提出した。

AFPが確認した告発状によると、女性は同枢機卿から「特に執拗(しつよう)かつ長時間にわたる抱擁(ハグ)」をされた上、「キスをしようとするに等しい身体的親密さ」を求められたと告発。女性は後者を「間一髪で」かわすことができたと述べている。

ラバト司教区の教会関係者によると、同様の被害を訴える少なくとも5件の告発が司教区の知るところとなっている。

ロペス枢機卿はAFPに対する書面での回答で、「成人女性に対する不適切な行為で告発されている」事実を認め、「この状況を受けて、教会が予備調査を開始した」と付け加えた。

だがその一方で、「私は暴行も、暴力も、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)も一切行っていない」と強く主張した。

■気さくな「街の神父さん」

だが、ラバト司教区の関係者は、ロペス枢機卿の周囲に存在する「隠蔽(いんぺい)と沈黙の文化」を批判し、側近たちが手を貸して同枢機卿を守っていると告発している。

同関係者によると、ロペス枢機卿を昔から知る近しい人々は、同枢機卿が南米で宣教師として活動していた時代にも同様の行為があったと報告しているという。

ロペス枢機卿は貧しい人々のために働く気さくな「街の神父さん」として知られ、後にパラグアイ、ボリビア、スペインにおいて、自身が所属するサレジオ修道会の管区長を務めた。

有力なカトリック系ウェブサイト「クラックス」によると、昨年4月にフランシスコ前教皇が死去した後、ロペス枢機卿は一部のバチカンウォッチャーや「少なくない数の枢機卿」から、次期教皇候補として名前を挙げられていた。

また、カトリック系メディア「ナショナル・カトリック・レビュー」も、異文化や大陸間の架け橋となってきた経歴が、ロペス枢機卿を「次期教皇の座を狙える有力候補」としていると報じていた。

だが、ロペス枢機卿は、フランシスコ前教皇の後継者を決めるコンクラーベ(教皇選挙)の4日前になって撤退を表明。「(教皇になる)野心は一切ない」「もし私が選出されたら、シチリア島へ逃亡する」と語っていた。

別の情報筋は匿名を条件に、在モロッコ・バチカン大使館およびバチカン教理省に宛てられた4通の手紙をAFPに再送した。それは「ロペス枢機卿を含む聖職者による性的虐待」の告発状だった。

この情報筋によると、ロペス枢機卿は最近、定年の75歳を迎える2027年を前に退任を検討していることを示唆し、後継者の早期任命を要請していたという。

だが、バチカンのアルフレッド・シュエレブ駐モロッコ大使は、ロペス枢機卿の年齢を考慮すれば「標準的な対応」の範囲内であると説明。

シュエレブ氏はAFPに対し、「関係当局によって事実が立証されるまでは、推定無罪の原則が維持されなければならない」と語った。(c)AFP