【7月10日 CNS】6月24日に開幕した世界経済フォーラム(WEF)が主催する「夏季ダボス会議」では、「規模化イノベーション」が最大のテーマとなった。会場では、中国を次の研究開発拠点や地域本部の候補地として検討する海外ユニコーン企業の動きも話題となり、中国のイノベーション力への関心の高さが改めて示された。

中国が注目される背景には、巨大な市場、世界でも類を見ない産業基盤、人材、政策、そして開放的な環境という五つの強みがある。

まず最大の強みは14億人の市場だ。4億人を超える中間所得層を抱え、多様な消費ニーズが新技術の実証や改良を後押ししている。欧米では国や地域ごとに市場や規制が分かれているため、新技術の普及には時間とコストがかかる。一方、中国では一つの技術を短期間で全国へ展開できる。

もう一つの強みは、世界で最も幅広い産業体系を持つことだ。研究成果を試作から量産まで迅速に進められる体制が整い、研究開発から製品化までの時間を大幅に短縮できる。中国政府は第15次五か年計画(2026~2030年)で、半導体や量子技術、水素エネルギー、AIなど未来産業への投資を重点的に進める方針を掲げている。

人材面でも、中国では毎年500万人以上の理工系卒業生を輩出し、技能人材は2億2000万人を超える。大学、研究機関、企業が連携し、基礎研究から製造現場まで一体となった人材育成が進められている。

また、中国では政府と市場が役割を分担する体制も特徴だ。政府が長期的な研究開発やインフラ整備を支え、企業が市場競争を通じて技術を実用化する仕組みが整えられている。企業による研究開発投資は全体の約8割を占め、50万社を超えるハイテク企業が技術革新を支えている。

さらに、中国は技術の囲い込みではなく、国際協力を重視する姿勢も打ち出している。テスラ(Tesla)やBASF、ファイザー(Pfizer)など世界企業が中国に研究開発拠点や生産拠点を設け、中国の産業基盤を活用して世界市場へ製品を供給している。

筆者は、中国の強みは一つの要素ではなく、「巨大市場」「産業基盤」「人材」「政策」「開放」という五つの要素が相互に作用している点にあると指摘する。

2026年は第15次五か年計画の初年度にあたる。今後も中国は基礎研究から試作、量産、世界展開までを一体化したイノベーション体制を強化し、世界経済の新たな成長を支える存在を目指していくとしている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News