【三里河中国経済観察】中国DRAM大手、合肥で急成長
このニュースをシェア
【7月22日 CNS】四半期売上高が前年同期比7倍超、純利益が同12倍超――。中国最大手の半導体メモリーメーカー長鑫科技(CXMT)が5月17日に更新した科創板上場申請書には、驚異的な業績が並んだ。2026年第1四半期の売上高は508億元(約1兆2109億円)、純利益は330億1000万元(約7868億7587万円)に達した。1日当たりに換算すると約4億元(約95億3500万円)の利益を稼いだ計算になる。
親会社株主に帰属する純利益は247億6000万元(約5902億1650万円)で、中国A株上場企業全体でも上位に入る水準だ。現在、中国のテクノロジー企業で最大級の利益と時価総額を誇る寧徳時代新能源科技(CATL)の207億4000万元(約4943億8975万円)も上回っている。
業績急拡大の背景にあるのは、DRAM(動的ランダムアクセスメモリー)価格の急騰だ。世界的なAI開発競争の激化により、メモリー半導体需要が急増している。調査会社トレンドフォース(TrendForce)によると、2026年第1四半期の汎用DRAM契約価格は前期比90〜95%上昇した。こうした追い風を受け、中国国内のメモリー関連企業の株価も大幅に上昇している。長鑫科技は中国最大、世界第4位のDRAMメーカーとして、この好況の最大の受益者の一つとなった。
ただ、同社は常に順調だったわけではない。数年前には世界的な供給過剰の影響を受けて赤字に苦しみ、2025年第1四半期も15億5900万元(約371億6266万円)の最終赤字を計上していた。わずか1年で赤字から巨額黒字へ転じた背景には、市場環境だけでなく、安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)による長年の支援があった。
2016年、中国のDRAM市場はサムスン電子(Samsung Electronics)、SKハイニックス(SK Hynix)、マイクロンテクノロジー(Micron Technology)の3社がほぼ独占していた。そこで合肥市は半導体設計企業の兆易創新(GigaDevice)と協力し、「506プロジェクト」と呼ばれる国産DRAM開発計画を始動。その成果として誕生したのが長鑫科技だ。
半導体開発には巨額の投資と長い開発期間が必要となる。合肥市は長期的な視点で資金を投入し続けた。現在も長鑫科技の大株主には合肥市国有資産監督管理委員会が実質的に支配する企業が名を連ねている。
さらに合肥市は資金支援だけでなく、半導体産業チェーン全体の育成を進めた。長鑫科技を中心に、材料、設計、製造、後工程(組み立て・検査)まで関連企業400社以上が集積し、中国有数の半導体産業クラスターを形成している。
こうした10年にわたる支援によって、長鑫科技は世界DRAM市場で4位の地位を築いた。現在、メモリー市場は上昇局面にある。市場関係者の中には、2026年の純利益を1500億〜2000億元(約3兆5756億〜4兆7675億億円)と予測し、時価総額を3兆〜4兆元(約71兆5125億〜95兆3500億円)と見積もる声もある。
もし上場が実現すれば、合肥市系の国有資本が保有する資産価値は1兆元規模(約19兆7000億円)に達する可能性がある。これは2025年の合肥市GDP(1兆4200億元<約33兆8492億円>)に迫る規模だ。
半導体産業は景気変動の影響を受けやすい業界だが、長鑫科技の成長は、長期的な投資と産業育成が大きな成果につながることを示す事例として注目されている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News