【7月16日 CNS】中国民用航空局(民航局)の公式サイトが更新され、新たな組織「低空安全司」が正式に設置されたことが明らかになった。2024年末に国家発展改革委員会が「低空経済発展司」を設立したのに続き、中国の低空経済を管理する体制がさらに整備された形だ。

民航局によると、低空安全司は低空民間航空の発展計画策定、低空空域における安全と発展の統括、低空飛行サービス指令プラットフォームや飛行サービスステーション体系の整備などを担当する。今回の組織新設は突然の動きではない。2025年7月、民航局は一般航空、民間無人航空機、低空経済発展に関する複数の指導グループを統合し、「一般航空・低空経済工作指導グループ」を発足させていた。当時から、発展計画の策定、耐空証明、市場監督、飛行運航管理、飛行サービス保障、安全監督体制の構築などを重点的に進める方針を示していた。

航空業界関係者の李瀚明(Li Hanming)氏は、「低空安全司が常設組織として正式に設置されたことは、低空経済が構想段階を終え、制度化された管理体制へ移行したことを意味する」と指摘する。これまでは地方政府による先行的な試行が重視されていたが、今後は耐空認証や飛行管制、サービス保障などのルールを全国的に統一し、恒常的な行政機能として定着させる段階に入るという。低空飛行に関する政策も、より実効性と強制力を持つようになるとみられる。

低空経済は一般航空、ドローン物流、緊急救援、農林業作業など幅広い分野を含む新たな基幹産業だ。利用場面が多様な一方で、管理体制も複雑で分野横断的になる。そのため、国家発展改革委員会の低空経済発展司と民航局の低空安全司は重複組織ではなく、それぞれ異なる役割を担っている。

低空経済発展司は発展戦略や中長期計画の策定、政策提言、重要課題の調整などを担当する、いわば「総合調整役」だ。先月初めて公の場に姿を見せた鄭剣司長は、「第15次五か年計画」期間中の重点方針として、「適切に管理し、安定して飛ばし、柔軟に活用する」低空経済の実現を掲げた。

一方、低空安全司は「安全の守り手」としての役割を担う。近年、低空経済への期待は急速に高まっている。上海は「世界eVTOL(電動垂直離着陸機)の都」を目指し、深セン市(Shenzhen)は「世界の低空経済都市」を掲げている。

民航局によると、中国の低空経済市場規模は2025年に1兆5000億元(約35兆5536億円)へ達した。登録ドローン数も2023年の126万7000機から、2025年末には328万7000機へと急増した。しかし機体数の増加に伴い、安全上のリスクも拡大している。2026年5月には公安部が、ドローンによる鉄道運行への影響事例5件を公表した。その中には、ドローンが線路内に墜落し、63本の列車が遅延したケースも含まれている。

産業の急成長と安全リスクが並存する中、専門的な監督体制の整備が急務となっていた。李氏は、「今回の役割分担によって、産業振興と安全確保の責任範囲が明確になった。過度な規制で産業の活力を損なわず、安全面の最低ラインも守ることが重要だ」と語る。また、無許可飛行などの問題についても、単純な取り締まりではなく、申請手続きの効率化や気象・飛行情報サービスの充実によって解決を図るべきだと指摘する。

発展戦略を担う低空経済発展司と、安全管理を担う低空安全司という二つの重要なピースがそろったことで、中国の低空経済は政策、技術、需要の三つの追い風を受けながら本格的な成長期に入ろうとしている。今後は「より高く飛ぶ」だけでなく、「より安全に飛ぶ」ことが求められる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News