黄土高原の「ちまき村」 ヨシの葉が生んだ2億元産業
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【6月29日 東方新報】端午節(今年は6月19日)を迎えた山西省(Shanxi)呂梁市(Lvliang)臨県の前青塘村では、村中にちまきの葉の香りが漂う。標準化された工場では作業員たちが手際よくもち米とナツメを詰めて葉で包み、家庭の作業場でも次々とちまきが作られていた。
村民の張愛珍(Zhang Aizhen)さんは「すべて手作りです。臨県産の黄河灘ナツメと良質なもち米、天然のヨシの葉を使い、材料選びから米の浸水、包み方、蒸し方まで一つ一つにこだわりがあります」と話す。
臨県の地方誌「臨県志」には「池は天然に生じ、水は清らかで豊か。ヨシが生い茂り、ちまきや敷物の名産地である」と記されている。乾燥した黄土高原にありながら、村内には「海眼泉」と呼ばれる湧水があり、年間を通じて清流が流れ続ける。この水によって約400ムー(約27ヘクタール)のヨシ原が育まれ、幅広で厚みのある葉はちまき作りに最適な素材となっている。
700年以上前、元代に移住してきた王一族が、ヨシの葉でナツメともち米を包んで蒸したところ、甘く香り高い味わいになることを発見した。以来、この伝統は代々受け継がれてきた。
青塘ちまきは伝統製法を守りながら改良も進められ、「洗う・浸す・漬ける・包む・煮る」の五段階製法を確立した。ヨシの葉、馬蓮草、ナツメ、もち米の香りが一体となり、甘みと弾力のある食感が特徴だ。2023年には「臨県青塘蜜漬けナツメちまき」の製造技術が山西省の無形文化遺産に登録された。
伝承者の李小英(Li Xiaoying)さんによると、かつて村人がちまきを作るのは端午節だけで、家庭で食べる程度だったという。それ以外の時期はヨシの葉を販売していたが、1斤(500グラム)あたり最高でも4元(約95円)ほどだった。
「資源の強みをどう経済的価値に変えるか」。村の党支部書記である張新文(Zhang Xinwen)氏は村民とともに市場調査を重ね、農村振興政策の後押しも受けながら、ちまき産業の育成を進めた。その結果、2025年末までに村の年間生産量は8000万個を超え、年間生産額は2億元(約47億6750万円)を突破した。商品も従来のナツメ入りちまきだけでなく、八宝ちまき、低糖質ちまき、サンザシ入りちまきなど6シリーズ20種類以上へと拡大。真空包装や高温殺菌技術の導入によって賞味期限は180日まで延び、海外にも輸出されている。
現在、ちまき産業園の1日当たり生産能力は5万個に達し、10社以上の中規模加工企業と150以上の家庭作業場が生産に携わっている。周辺地域を含め4000人以上の雇用創出にもつながった。
また、「海眼泉」の湿地を活用した観光開発も進み、水上レジャー施設や明・清代の古建築群と合わせて、観光客はちまき作りやヨシ絵制作を体験できる。前青塘村はこれまでに「中国歴史文化名村」「中国伝統村落」「中国美しいレジャー農村」などの称号を獲得している。
李小英さんは先日、フランスやシンガポールに住む華僑向けにちまきを発送した。「ちまきは青塘村の根であり魂です。ひと握りのもち米、二粒のナツメ、三枚のヨシの葉には、先人たちの知恵と想い、そして家族を思う気持ちが込められています」と語った。
前青塘村では6月5日から22日まで「青塘グルメ・サーカス・打鉄花・ちまき文化芸術祭」を開催している。端午節をきっかけに伝統産業と電子商取引を融合させ、農村振興をさらに推進する考えだ。(c)東方新報/AFPBB News