【7月3日 CNS】香港証券取引所(HKEX)の上場の鐘が、最近は鳴りっぱなしだ。3月30日だけでも7回鳴らされ、4社が新規上場し、3本の上場投資信託(ETF)が新たに上場した。現在も多くの企業が香港証券取引所への上場を待っている。

香港証券取引所の最新データによると、5月15日時点で今年すでに53社が上場し、調達額は累計1578億香港ドル(約3兆2258億円)に達した。前年同期比では571%増となる。今回の上場ラッシュには、注目すべき二つの変化がある。

まずは上場企業の質だ。53社のうち48社は中国本土企業で、人工知能(AI)、先端半導体、バイオ医薬品、先進製造業などのハイテク企業が主役となっている。中山大学(Sun Yat-sen University)粤港澳発展研究院の陳広漢(Chen Guanghan)首席専門家は取材に対し、「ハイテク分野を代表とする新たな生産力企業が主力となっていることは、上場企業の産業構造が大きく変化していることを示している」と語った。

現在の香港市場には、AIチップ、自動運転、バイオテクノロジー、産業用ロボットなど、主要先端分野の有力企業が集まり、さまざまな先端技術分野をカバーする市場となっている。

もう一つの変化は投資家の顔ぶれだ。中国のテクノロジー企業に対する資金流入が加速している。2026年第1四半期の香港市場におけるIPOの基石投資額は456億7500万香港ドル(約9337億1575万円)に達し、前年同期の7倍に増加した。アブダビ投資庁やカタール政府系ファンドは香港市場の有望なハイテク新興企業に積極的に投資しており、スイス金融大手UBSなど世界有数の資産運用機関も先端技術企業への投資を拡大している。

陳氏は、「長期的な視点を持つ資本が市場に参入し、ハイテク企業に重点投資していることは、市場が短期売買中心の『取引市場』から、中長期保有を前提とした『投資市場』へ進化していることを意味する」と指摘する。つまり、世界で最も選別眼が厳しく、長期志向の資金が中国企業に集まっているのは、短期的な利益を狙うためではない。中国の実体経済と技術革新の成長が、国際資本にとって有望な投資先と映っているからだ。

では、競争の激しい国際資本市場の中で、なぜ香港はこれほどの存在感を維持できるのだろうか。

陳氏は、その核心的な競争力として二つの点を挙げる。第一に、国際基準に接続した資本市場のルールと監督制度だ。香港は整備された金融インフラを持ち、世界の投資家や仲介機関、発行体が特別な学習コストや追加的な信頼構築を必要とせず、市場に参加できる。

この仕組みはコモンローを基盤とし、原則重視の監督理念、国際的な専門機関の存在、さらに高い信頼性を持つ裁判制度や仲裁制度によって支えられている。陳氏は、こうした制度によって香港はロンドンやニューヨークと肩を並べる国際金融センターになっていると評価する。

香港は2018年に赤字バイオ企業の上場基準を緩和し、2023年には特専科技企業向け制度を導入した。さらに2026年には秘密申請制度の全面開放や仲介機関の責任強化、議決権構造の見直しなどが予定されている。こうした制度改革を重ねることで、香港独自の市場ルールを築いてきた。

第二に、資本の自由な移動を可能にする相互接続の仕組みだ。香港には外貨規制がなく、資金の流出入が自由に行える。また、中国本土と香港を結ぶ相互接続制度を通じて、香港上場企業は海外資金だけでなく、中国本土から流入する巨額の投資資金にもアクセスできる。この独自の流動性は、他の国際金融市場にはない強みとなっている。

香港証券取引所の鐘が「足りなくなるほど鳴り続けている」ことは、香港の国際金融センターとしての活力を示すと同時に、世界の長期資本と新たな生産力が香港市場で出会っていることの象徴でもある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB