【6月20日 AFP】ポーランドの強硬右派カロル・ナブロツキ大統領は19日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に授与されたポーランド最高位の勲章「白鷲勲章」を剥奪した。

ゼレンスキー氏は今月、第2次世界大戦時にポーランド人虐殺に関与したウクライナ民族主義組織「ウクライナ蜂起軍(UPA)」にちなみ、ウクライナ軍特殊部隊を「UPAの英雄たち」と命名し、ポーランドを激怒させた。

ポーランドは、侵攻するロシア軍と4年以上にわたって戦うウクライナにとって重要な支援国となっており、数十万人規模のウクライナ避難民を受け入れ、西側諸国によるウクライナ支援の兵站拠点となってきた。だが、第2次大戦の記憶をめぐるいさかいによって、ポーランドとウクライナの関係はしばしば緊張している。

ナブロツキ大統領は、ウクライナ側やポーランドのドナルド・トゥスク首相がこれ以上対立を激化させないよう要請していたにもかかわらず、ポーランド北部グダンスクで25~26日に「ウクライナ復興会議」が開催される直前に剥奪を強行した。この対立を受けて、ゼレンスキー氏が同会議に出席するかどうかは不透明なとなっている。

昨年就任したナブロツキ大統領は声明で、「歴史的真実が交渉を有利に進める材料道具になることはない。そのようなことが決してあってはならない。犠牲者の追悼は、ポーランド国の道徳的義務だ」と説明。

ポーランド側としては命名を撤回するよう要請したが、ウクライナ側が応じなかったという。

ナブロツキ大統領は、「したがって、ウクライナ軍部隊の一つを『UPAの英雄たち』と命名することにウォロディミル・ゼレンスキー大統領が同意したことに鑑み、ウクライナ大統領から白鷲勲章を剥奪することを決定した」と述べた。

ウクライナ側はこの決定を「ロシアだけが利益を得る『戦略ミス』だ」として激しく非難した。

ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、この決定を「不当で衝動的、かつ敬意を欠いたものだ」と批判し、自身が2022年にポーランドから授与された勲章を返上する意向を表明した。

UPAは1943~1945年、現在のウクライナ北西部ボルイニ州(第2次大戦前はポーランド領)で、ポーランド人民間人数万人を虐殺した。

ナブロツキ大統領は、ウクライナによる「UPAを賛美する決定は、言語道断であるだけでなく、深く失望させるもの」であり、両国間の「和解」を損なうものだと批判した。

ナブロツキ大統領と対立するトゥスク首相は、ゼレンスキー氏による軍部隊の命名を「誤った決定」と呼ぶ一方、ゼレンスキー氏からは「ポーランド人の感情を害する意図は微塵もなかったと釈明された」と述べている。

トゥスク首相は両国に対し、ロシアによる侵攻の中で見られた両国間の連帯を「無駄にしない」よう、そして「歴史によって私たちの未来を壊さないよう」呼び掛けた。

難民と移民を合わせて数百万人のウクライナ人が暮らすポーランドではここ数か月、反ウクライナ的な事件が相次いで発生しており、活動家やナブロツキ大統領の民族主義的な姿勢を批判する人々は、排他的な言動をエスカレートさせないよう警告している。(c)AFP