【三里河中国経済観察】中国製造・技術・IP、W杯の「影の主役」に
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【6月29日 CNS】メキシコシティのアステカ・スタジアム(Azteca Stadium)では、中国の6人の少年がFIFA(国際サッカー連盟)旗を掲げ、世界中の何億人もの視線を集める中、ピッチへ最初に足を踏み入れた。彼らは内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)出身で、最年長は17歳、最年少は15歳だった。彼らはサッカーW杯北中米大会(2026 World Cup)の開幕式に登場した唯一の中国の「代表チーム」だった。しかし、その背後では、中国の存在感がW杯の至るところに広がっていた。
主審、副審、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)として審判団に名を連ねた馬寧(Ma Ning)氏、傅明(Fu Ming)氏、周飛(Zhou Dei)氏に加え、会場でひときわ注目を集めたのが、鋭い牙を見せて笑う2体のマスコットだった。
開幕式では、特別仕様のユニフォームを着たラブブ(LABUBU)が登場し、ミニチュアのトロフィーを掲げる映像がSNSで話題となった。これはワールドカップ史上初となる、中国発オリジナルIPとの公式ライセンスコラボ商品だ。「THE MONSTERS」シリーズのキャラクターが「見えない中国代表」としてW杯の舞台に立った時、中国ブランドの存在感に多くの人が注目した。
1994年の米国大会当時、中国企業は大会記念品のOEM生産を通じて初めてW杯に関わった。しかし32年後、中国ブランドはより目立つ形で、そしてより高度な技術力を携えて再びアメリカ大陸に戻ってきた。
ピッチの中心では、今大会の公式試合球「三重浪」が使用されている。このボールは深セン市(Shenzhen)のスポーツ用品工場で製造された。内部には500Hzチップを搭載したスマートボールが組み込まれており、1秒間に500回の接触データを記録できる。身体追跡技術と連動し、審判の判定を支援する仕組みだ。このスマートボールも、江蘇省(Jiangsu)淮安市(Huaian)の頂碁運動が製造している。
中国国際貿易促進委員会のデータによると、今大会のFIFA公式スポンサーとなった中国企業は4社で、投資額は合計約5億ドル(約800億7500万円)だった。前回大会の6社・13億9500万ドル(約2234億925万円)と比べると半分以下に減少したが、広告枠から退いたことは中国企業の関与意欲の低下を意味しない。
スタジアムの舞台裏では、海信集団(Hisense Group、ハイセンス)や聯想集団(レノボグループ、Lenovo)などの中国企業が「審判の補佐役」を担っている。海信の映像機器は、米ダラスにある国際放送センターや審判センターに導入され、試合映像の分析や判定支援に活用されている。レノボは「W杯サッカーAIスーパーエージェント」や「3Dデジタルヒューマン可視化ソリューション」などのAI技術を提供し、全16会場で戦術分析や判定支援に利用されている。
広告看板だけで存在感を示す時代は終わった。中国企業はVARルームなど大会運営の中枢へと入り込み、「見られる存在」から「必要とされる存在」へと変化している。
ピッチの外にも、中国の存在は広がっている。アステカ・スタジアムの全面改修工事は中国鉄建工が担当した。メキシコの3つの開催都市で運行される115編成の新型ライトレール車両は中国中車が製造したものであり、メキシコシティで運行される800台の新エネルギー輸送車の95%も中国製だ。
浙江省(Zhejiang)義烏(Yiwu)税関によると、2026年第1四半期の義烏市におけるスポーツ用品・設備の輸出額は28億3000万元(約670億25万円)に達し、前年同期比12%増となった。応援ユニフォームやホーン、テーマ眼鏡、帽子、かつら、さらにはペット用ユニフォームまで、世界中のサポーター向け観戦グッズの多くを義烏が供給している。
今や中国の審判団は主要な審判ポストをカバーし、中国の技術はVAR判定に深く関わり、中国製品は大会インフラを支える存在となった。2026年のFIFAワールドカップでは、中国代表は本大会出場を果たせなかった。しかし、開幕式に参加した少年たちのように、中国サッカーの若い世代は力を蓄えている。そして「見えない中国代表」は、すでにワールドカップを支える重要な存在となっている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News