【6月7日 AFP】メキシコの首都メキシコ市のある倉庫には、サッカーW杯北中米大会に向けたユニホームのコピー品が詰まった何十もの段ボール箱が積み上げられ、そのすべてに「押収品」と記されたステッカーが貼られていた。

米国、カナダとの共催で行われるW杯が11日に開幕するのを前に、同市では過去3か月で130万ドル(約2億円)相当の偽造品が当局に押収された。

しかし、チケットや公式グッズの価格が高騰していることで、より安価な代替品への需要があおられ、偽造グッズの販売は依然として増えている。

市内の中心街では、露天商が歩道で海賊版商品を販売しており、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアなどの代表ユニホームが10〜20ドル(約1600~3200円)で販売されている。これは、メキシコ代表公式ユニホームの約10分の1の価格だ。

緑と白の偽メキシコ代表ユニホームを購入したエンジニアの男性(27)はAFPの取材に対し、「W杯がもうすぐ始まるから、メキシコが勝ったときのためにユニホームを持っておきたくて」と応じた。

男性は、特殊な吸湿速乾素材で作られた公式ユニホームが200ドル(約3万2000円)近くもする正規店に行くのを避けた。公式ユニホームは「大ファン」にとってはそれだけの価値があるかもしれないが、自分にとっては高すぎると言い、「ただW杯の期間中、楽しむために着たいだけだから」と続けた。

国際サッカー連盟(FIFA)の商標、名称、シンボルは、W杯グッズの無断販売に対する罰則によって保護されている。企業は許可なくFIFAのブランディングを使用したり、大会との関連性を暗示したりすることはできない。

過去3か月間で、メキシコ政府の知的財産保護機関は3回の取り締まり作戦を実施し、大会の「ファンフェスト」が開催されるメキシコ市の歴史地区を中心に、130万ドル相当、10万5000点以上の商品を押収した。当局は、W杯の開催地となっているグアダラハラとモンテレイでも偽造品撲滅作戦を展開している。

しかし、違法取引は後を絶たない。中には、まるで麻薬を売るかのように、購入希望者に小声でささやき、支払いが済むまでユニホームを隠し持っている物売りもいる。また、お金だけを受け取って商品を引き渡さない詐欺もある。

匿名を条件に取材に応じたある露天商は、最近の警察の摘発で海賊版の商品をすべて没収された。しかし、その後当局が戻ってくることはなかったため、この業者は闇市場での商売を再開。品質の低いユニホームを約14ドル(約2250円)で、より本物に近いコピー品を40ドル(約6400円)近くで販売している。

11日の開幕戦が近づくにつれ、ビジネスは活況を呈している。

バリスタの男性(25)はAFPに対し、「品質は本当に似ているよ。もちろん同じではないけれど、ものすごくそっくりだ」と語った。(c)AFP