江西省南昌市 伝統辛味ソースが切り開く豊かな暮らし
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【6月13日 東方新報】「これは祖先から受け継いできた昔ながらの技で、すでに100年以上の歴史があります」。初夏の午後、江西省(Jiangxi)南昌市(Nanchang)東湖区揚子洲鎮三聯村にある工場で、南昌市の無形文化遺産代表的項目「揚子洲辣醤作り技術」の代表的伝承者、陶九筷さんは、タニシ入り辛味ソースを炒める作業に追われていた。湯気の立つ大きな鉄鍋の中では、タニシの身と赤くつややかなソースが混ざり合い、鮮やかな辛味と深い香りが辺りに広がっていた。
「私が生まれた時、家族はちょうど9人になりました。9膳目の箸が増えたということで、『九筷(Jiu Kuai)』と名付けられたんです。この人生は『食』と縁があるのだと思います」。少年時代を振り返る陶(Tao)さんは、自転車に辛味ソースを積んで市場へ売りに行っていた日々を今も覚えている。「昔ながらの行商スタイルを変えるため、1998年に久鴻辣醤工場を建てました。商品を瓶詰めして包装し、スーパーで販売するようにしたことで、伝統の技をブランド化へと進めることができました」と陶さんは話す。
洗浄、選別、刻み、油通しなど、小さな一瓶の辛味ソースにも15もの工程があるという。「私たちは昔ながらの手作業による炒め製法を守り、江西省産の唐辛子、農家の菜種油、茶油などを原料に使い、最も素朴で土地に根差した味を残しています」。陶さんは、南昌の辛味ソースの特徴は「うま味」にあると語る。「ほかの地域の香ばしい辛さや酸味のある辛さとは違い、南昌の辛味ソースは口に入れるとうま味と香りが広がります。口が痛くなるような辛さではありませんが、後からじわりと効いてきます」
近年、昔ながらの技に新たな活力を与えるため、陶さんは伝統的な製法を守りながら、工場に全自動の密封包装設備や殺菌設備などを導入し、工業化・スマート化生産を少しずつ進めてきた。「現在、1日あたり約2万瓶の辛味ソースを生産し、年間売上高は1600万元(約3億7409万円)余りに達しています」と陶さんは言う。
伝統の味を受け継ぐ取り組みは、地元農家の収入増にもつながっている。原料の品質を確保するため、陶さんは南昌市安義県に栽培基地を設け、100戸以上の農家が唐辛子やニンニクの栽培に参加している。収穫物は工場が一括で買い取る仕組みだ。「今後は周辺にも新たな栽培基地を設け、より多くの農家に唐辛子やニンニクを栽培してもらい、住民の収入増につなげていきたい」と陶さんは話す。
路地を回って売り歩いていた時代から、今では100社以上の販売代理店を持ち、商品は海外にも輸出されるまでになった。揚子洲の辛味ソースは今や、南昌を代表する味の一つとなっている。(c)東方新報/AFPBB News