【三里河中国経済観察】広東省の実在人口1億6500万人、発展の土台に
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【6月11日 CNS】1億6500万人前後。これは、中国・広東省(Guangdong)が最近公表した同省内の実在人口だ。ネット上で大きな話題となったこの数字は何を意味するのか。世界的に見れば、ロシアの人口1億4400万人を上回り、国として数えれば世界9位に相当する規模だ。常住人口だけで見ても、広東省の約1億2900万人は、日本の約1億2300万人を上回る。
一つの省の人口が一国に匹敵する。南粤の地・広東省の高い人気ぶりは、注目に値する。2024年の同省内の実在人口は約1億5000万人だったが、わずか2年でさらに1500万人増えた。広東省は「中国一の人口大省」と呼ぶにふさわしい存在になっている。
その人気は、さまざまな指標にも表れている。2025年の最終日、広州地下鉄の1日当たり利用者数は1409万3000人に達し、中国全国の記録を更新した。2026年第1四半期には、広州白雲国際空港(Guangzhou Baiyun Airport)の旅客取扱量が全国首位となった。2026年の春節(旧正月、Lunar New Year)連休には、広東省全体で延べ8658万9000人の観光客を受け入れ、観光収入は848億9000万元(約円)に達し、いずれも全国トップだった。
もちろん、人口を見る時は数だけでなく構造も重要だ。広東省は人口規模が大きいだけでなく、若い世代の割合が高い。2025年末時点で、16~59歳の労働年齢人口は66.31%を占め、全国平均を約6ポイント上回った。一方、65歳以上の人口は10.3%にとどまり、全国平均の15.9%を大きく下回っている。人口が多く、しかも若いことが、広東省の発展を支える人口ボーナスになっている。
では、なぜ広東省はこれほど人を引きつけるのか。その背景には二つの「敢」がある。一つは「産むことに前向き」なことだ。多子多福(子供が多ければ幸福も多い)の考え方の影響もあり、広東省の人々は比較的出産意欲が高い。さらに出産年齢人口の基数が大きいことも重なり、出生数は長年、中国全国で上位を維持してきた。広東省は国内で「最も産むことに前向きな省」とも呼ばれる。データによると、2025年の広東省の出生数は100万3000人で、6年連続で中国唯一の出生数100万人超の省となった。
もう一つは「人材を取りに行く」ことだ。人口が多いことを負担と見る地域もあるが、すでに巨大な人口規模を持つ広東省は、なおも人材を強く求め、あらゆる人材の誘致に力を入れている。2025年には「百万英才匯南粤」行動を開始し、最終的に110万人を超える大学卒業生を広東省での就職・起業へと引きつけた。2026年もこの取り組みを継続し、目標は引き続き100万人としている。
若者も行動で選択を示している。「中国都市95後人材吸引力ランキング(2025)」によると、深セン市(Shenzhen)は3年連続で95後人材吸引力ランキングの首位となり、広州市(Guangzhou)は5位に入った。広く門戸を開く広東省では、優れた人材が東南へ向かう流れが、新しい時代にも続き、さらに勢いを増している。
ここで疑問に思う人もいるかもしれない。近年、広東省の経済成長率にはやや変動があり、以前のように一路まい進しているわけではない。それでも、なぜ人を引きつける力は衰えないのか。答えはシンプルだ。広東省の魅力は、もはや「稼げる」だけではなく、「成長できる」ことにある。かつて「東西南北中、金を稼ぐなら広東へ」という言葉が多くの人を奮い立たせ、生計や収入を求めて人びとがこの熱気ある地へ向かった。今ではその言葉は、「東西南北中、成長するなら広東へ」に変わりつつある。人びとを引き留めているのは、短期的な収入の魅力だけではなく、広い発展空間、公平な競争環境、整った生活支援、そして誰もが挑戦し、輝ける人生の舞台だ。
強い経済力こそが、すべての自信の源になっている。中国最大の経済大省である広東省のGDPは14兆元(約327兆9066億円)を突破し、37年連続で全国トップを維持している。経済規模は全国の10分の1超を占め、対外貿易の輸出入額は全国の5分の1を占める。発展計画によると、2035年の広東省GDPは2022年比で倍増し、25兆元(約585兆5475億円)を突破する見込みだ。新たな広東をもう一つつくるほどの成長余地があり、多くの人の夢を受け止める力を持っている。
産業があれば、人も集まる。整った産業体系は、膨大な雇用機会を生み出している。現在の広東省には、次世代電子情報、先進材料など、規模1兆元(約23兆4219億円)級の産業が10ある。多様な分野と豊富な雇用の中で、技能や業界を問わず、広東に来れば足場を築き、発展するチャンスを見つけやすい。2025年の広東省の都市部新規就業者数は149万4000人に達し、国が示した目標を上回った。
さらに重要なのは、広東省が単なる「世界の工場」ではなく、科学技術イノベーションの拠点でもあることだ。広東省の地域イノベーション能力は9年連続で全国首位となり、「深セン―香港―広州」イノベーションクラスターは世界首位に躍り出た。ドローン生産量は全国の9割、産業用ロボットは4割、サービスロボットは8割超を占める。広東省は現在、人工知能とロボット産業の高地づくりに力を入れており、新産業、新分野、新たなチャンスが、各地から人材を引きつけ続けている。
中国区域科学協会の馮奎(Feng Kui)副理事長は、これは経済大省が重責を担っていることの具体的な表れだと見る。一方では、現在の段階において、人口が経済大省へ加速的に集まることは、地域発展における自然な空間的変化の法則だ。もう一方では、政策による継続的な後押しも欠かせない。建設用地など重要要素の重点的な保障や、戸籍、社会保障などの社会政策の連携が、経済大省が資源を集め、人口を受け入れ、発展の重責を担うための条件をますます整えているという。
人びとがある地域へ向かうのは、決して偶然ではない。広東省は、人口こそ未来であり、発展の切り札であることを証明している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News