【5月30日 AFP】ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領は29日、米政府がブラジルの二つの犯罪組織を外国テロ組織に指定したことを激しく非難し、米国に対して「わが国の民主主義をもてあそぶな」と警告した。

ルラ氏はブラジル北東部で開催されたイベントで怒りをあらわに、「子ども扱いや三流国扱いは受け入れられない」と述べた。

米政府は28日、ブラジル最大の犯罪組織「首都第一コマンド(PCC)」と麻薬密売組織「コマンド・ベルメーリョ(CV)」を外国テロ組織に指定した。

両組織はブラジルの刑務所から台頭し、現在は国内だけでなく国境を越えて国外にも勢力を拡大している。麻薬や兵器の密売、恐喝などに手を染め、都市部の広範囲を支配下に置いている。

ルラ氏は「彼らは家族や地域社会、都市を苦しめているという意味ではテロリストだ」「われわれはここブラジルで彼らと戦っていく」と述べた。

さらに2001年9月11日に起きた米同時多発攻撃の首謀者で国際テロ組織アルカイダの指導者だった故ウサマ・ビンラディン容疑者に言及し、「彼らはトランプ氏が捜しているようなテロリストではない。ドナルド・トランプ大統領が捜しているのはウサマ・ビンラディン容疑者のような人物だ」と訴えた。

今回の米国による外国テロ組織指定は、今月トランプ氏と長時間会談し、有意義な会談だったと称賛し合っていたルラ氏に対する当てこすりと受け止められている。

ルラ氏は「私はトランプ大統領と3時間、丸3時間も一緒に過ごしたのに」と憤慨し、組織犯罪対策について具体的に記した文書もトランプ氏に手渡していたことを明かした。

さらに、「この国の主権をもてあそぶな。わが国の民主主義をもてあそぶな」と付け加えた。

トランプ氏は以前から、極右ジャイル・ボルソナロ前大統領一族の盟友と目されてきた。

今回の外国テロ組織指定は、トランプ氏が10月のブラジル大統領選に出馬を予定するボルソナロ前大統領の長男フラビオ上院議員らと会談した2日後に行われた。

フラビオ氏は米国の外国テロ組織指定を受けて公開した動画メッセージで、自身は既にルラ氏や同氏が率いる左派・労働者党が断続的に政権を握ってきた約17年間よりも「ブラジル連邦共和国のために、そしてブラジル国民の安全のために」はるかに多くのことを成し遂げたとアピールした。

フラビオ氏は「ルラ氏はトランプ氏の前でひざまずき、CVやPCCのためにロビー活動をした。一方、私はテロリストがテロリストとして扱われるよう働きかけ、米国による外国テロ組織指定が実現した」と述べた。

これに対しルラ氏はフラビオ氏を激しく批判し、「米国へ渡ってブラジルへの米国の介入を乞うなど祖国に対する裏切りだ。恥知らずにもほどがある」と述べた。

ルラ氏は通算4期目の大統領就任を目指しているが、今回の大統領選では苦戦を強いられており、最近の世論調査ではフラビオ氏を僅差でリードしているにすぎない。(c)AFP