【三里河中国経済観察】北京モーターショーに見る中国車業界の新潮流
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【6月10日 CNS】2026年北京国際モーターショー(Auto China 2026)では、新車だけでなく、自動車メーカーのトップたちが互いのブースを訪れる場面も大きな話題となった。小米科技(シャオミ、Xiaomi)の創業者で会長兼CEOの雷軍(Lei Jun)氏、寧徳時代新能源科技(CATL)の曾毓群(Robin Zhen)会長、理想汽車(Li Auto)の創業者で会長兼CEOの李想(Li Xiang)氏、上海蔚来汽車(NIO)の創業者で会長兼CEOの李斌(Li Bin)氏、小鵬汽車(XPeng)の何小鵬(He Xiaopeng)会長兼CEOなど、普段なら自社発表会の主役となる経営者たちが、この日は相次いで自社ブースを離れた。
では、どこへ行ったのか。答えは、他社ブースへの「相互訪問」だった。曾毓群氏は理想汽車のブースに姿を見せ、自ら車に乗り込み、李想氏の説明を受けながら車内で楽しそうに話し込んだ。降車後には、何度も「すごい」と称賛した。
隣接する小米汽車と理想汽車のブースでは、雷軍氏と李想氏が互いのブースを歩いて訪問した。雷軍氏はさらに、ネット上のネタを交え、「最後まで聞いて」と書かれた特製Tシャツを李想氏に贈り、軽妙なやり取りで会場の笑いを誘った。
何小鵬氏は蔚来のブースを訪れ、蔚来の新型車のコックピットに座り、李斌氏から車内の細かな説明を受けた。会場の来場者からは、「これはモーターショーなのか、それとも大物経営者たちの交流会なのか」といった声も上がった。以前の自動車メーカーのトップは自社ブースで発表会を開いていたが、今のトップは他社ブースで「調査」している、と冗談交じりに語る人もいた。
かつて自動車メーカー同士の関係には、競争相手としての張り詰めた空気もあった。だが今は、企業トップたちが堂々と互いのブースを訪れ、相手の車を見たり、自社に関わる電池技術を見たりしている。火花を散らす場面は減り、握手や交流の場面が増えた。2026年北京国際モーターショーで見られたこの変化の背景には、中国の新エネルギー車産業が積み上げてきた自信と視野の広がりがある。
中国自動車工業協会のデータによると、2025年、中国の新エネルギー車の生産・販売はいずれも1600万台を突破し、11年連続で世界一となった。国内新車販売に占める新エネルギー車の割合も50%を超えた。
海外展開の実績も目立つ。2025年の中国の新エネルギー車輸出は261万5000台で、前年から倍増した。2026年第1四半期の輸出は95万4000台で、前年同期比1.2倍増となった。
さらに重要なのは、かつて「コストパフォーマンス」を武器にしていた中国製造が、今では「スマート化」や「技術で価値を定義する」力によって、世界の中国自動車産業への見方を塗り替えていることだ。
2026年北京国際モーターショーでは、1451台の展示車が一堂に並んだ。その中には、世界初公開車181台、コンセプトカー71台が含まれる。中国ブランドと海外メーカーが同じ舞台で競い合う中、中国企業の超急速充電電池、スマート運転システム、自社開発チップなど、数々の先端技術が重要な見どころとなった。「中国の新エネルギー車の発展には際立った強みがある」。フォルクスワーゲン(安徽)デジタル販売サービス(Volkswagen <Anhui> Digital Sales and Services)の湯廷万(Tang Tingwan)CEOは三里河中国経済観察の取材に対し、欧州の同僚に中国で働くことを呼びかけるほどだと語った。
世界の新エネルギー車産業は、もはや各社が単独で戦う段階を過ぎつつある。競争がゼロサムゲームではなくなる中、産業チェーンの上流から下流までが協力し、共に市場を大きくすることが、業界にとって自然な選択になっている。
ビジネスの場では競争相手でも、舞台を降りれば友人にもなれる。自動車メーカーのトップたちが自社ブースを離れて他社を訪れたのは、仕事をさぼっていたのではなく、場所を変えて事業の可能性を探っていたのだ。この光景は、より自信に満ち、開かれ、団結した中国自動車業界の姿を外部に示した。2026年北京国際モーターショーのこの一幕は、中国の新エネルギー車が未来へ走り出す姿を象徴するものだったのかもしれない。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News