【6月8日 CNS】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)ウルムチ市(Urumqi)から北京市までは、列車で最も速くても30時間かかる。かつて新疆、さらには中国西北部の多くの難病・重症の子どもを持つ家庭にとって、「北京へ治療に行く」ことは、地理的にも経済的にも大きな負担を伴う険しい道のりだった。

その状況が、今変わりつつある。2019年10月、新疆は第1陣の国家区域医療センター建設試行省・自治区に組み込まれた。2020年12月には、北京児童医院新疆医院、すなわち新疆国家児童区域医療センターが正式に発足した。

国家区域医療センターの建設は、質が高く効率的な医療衛生サービス体系をつくるための重要な取り組みであり、優れた医療資源を広げ、地域間でバランスよく配置するための現実的な道筋でもある。

中国小児泌尿器外科の第一人者とされる孫寧(Sun Ning)氏は、首都からウルムチへ赴き、同院の初代院長を務めた。一人の名医は、動く「看板」のような存在だ。孫氏が新疆に来てからは、新疆だけでなく、青海省(Qunghai)や甘粛省(Gansu)などからも、子どもの治療を求める家族が訪れるようになった。「手術がある限り、私はすべて執刀します」と孫氏は話す。「北京の専門家が来たことで、多くの病気は新疆で治せるのだと、患者に知ってもらわなければなりません」

2024年末には、神経内科の専門家である任暁暾(Ren Xiaotun)氏が孫氏の後任となり、北京児童医院新疆医院の執行院長に就任した。「北京児童医院で毎週行われる難病症例検討や教育回診は、遠隔方式で新疆医院に全面的に開放されています。医師がウルムチにいても、アラル市(Aral)にいても、アルタイ地区にいても、学びたいと思えば同時に参加できます」

新疆における区域医療センター建設の成果は、中国が優れた医療資源の均衡ある配置を進めていることを示す一つの縮図だ。同じような取り組みは、全国各地で同時に進んでいる。

陝西省(Shaanxi)では、西安交通大学(Xi'an Jiaotong University)第一附属医院と榆林市(Yulin)が共同で国家区域医療センターを建設している。これは単なる支援関係ではなく、深く融合した緊密型の医療連携体だ。管理、医療、情報を一体化し、検査結果を相互に認め合い、双方向の紹介・転院のための優先ルートも整えている。

以前なら西安市(Xi'an)まで行かなければ診られなかった病気の一部が、今では榆林で治療できるようになった。区域医療センターをハブとして、市、県、郷をカバーする質の高い医療サービス圏が形成され、「大病でも省外に出なくてよい」という目標が現実になりつつある。

こうした取り組みの背後には、2019年に始まった国家レベルの戦略的な配置がある。2019年、国家発展改革委員会などの部門は「区域医療センター建設試行作業方案」を発表した。医療資源が豊富な地域から優れた医療機関を選び、患者流出が多く、医療資源が比較的弱い地域に区域医療センターを建設するという内容だ。

これは単に「専門家が来て一巡する」ものではない。両地域の病院が共に診療科を育て、「本当の移植、深い融合、持続可能な発展」を実現する取り組みだ。二つの地域の病院が同じ品質管理基準を採用し、情報システムをつなぎ、遠隔症例検討やリアルタイム指導を行うことで、優れた医療資源を体系的に地方へ浸透させ、地域に根づかせている。

優れた医療資源を広げ、地域間の偏りをなくすため、中国は多層的で多面的な取り組みを進めている。2011年からは、国家衛生部門が毎年、一部の病院を組織して国家巡回医療チームを編成し、中西部の医療サービス能力が弱い地域で巡回診療を行ってきた。

北京協和医院では、国家巡回医療は14年続く伝統になっている。毎年、複数分野の専門家で構成される「国家チーム」が、中西部、革命根拠地、国境地域の県級病院へ向かう。彼らが届けるのは、数十日間の無料診療だけではない。標準化された診療理念と、現地で実践しやすい医療技術も一緒に届けている。

支援の効果を確かなものにするため、北京協和医院は安徽省阜陽市と長期的な協力体制を築いている。現地に常駐して診療を行い、住民が家の近くで医療を受けられるようにするだけでなく、臨床指導、技術普及、診療基準づくりなどを通じて、協和医院の診療経験と学科づくりの考え方を、現地医療チーム自身の力へと変えている。

習近平(Xi Jinping)総書記は、「医療衛生の重点を下に移し、医療衛生資源を末端へと行き渡らせ、都市と農村の基本公共サービスの均等化を推進し、人びとに安全で有効、便利で手頃な公共衛生・基本医療サービスを提供し、末端の人々が抱える『診療を受けにくい』『医療費が高い』という問題を本当に解決しなければならない」と指摘している。

家の近くに来る「国家医療チーム」は、もはや数人の専門家や数件の手術のために一時的に滞在する存在ではない。それは制度、技術、管理経験を深く移植する取り組みであり、国が医療・健康サービスの公平性と受けやすさを高めようとする確かな約束でもある。

この深く、長く続く医療資源の地方展開は、多くの家庭や一人ひとりの人生を静かに変えている。そして「健康中国」を、質が高く均衡の取れた新たな段階へ進めるための、確かで温かな一歩となっている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News