【6月5日 CNS】このほど、中国の地図・ナビアプリ「高徳地図(Autonavi)」が、正確で実用的な機能により台湾の人びとから支持を集め、現地のアップル、アンドロイド両プラットフォームのダウンロードランキングで首位に立った。中国市場で成長し、世界展開を進めるこのサービス系アプリは、独自の強みを生かし、「中国発の優れたサービス」を代表する存在になりつつある。

高徳地図が台湾で人気を集めたきっかけは、4月に現地で導入された「信号カウントダウン」機能だ。表示される秒数は実際の信号とほぼ誤差がなく、前方の道路状況もリアルタイムで知らせる。さらに、道路を横断する子どもがいる場合もすぐに注意を促し、ドライバーの利便性を大きく高めている。台湾のユーザー、何さんは「高徳地図の赤信号の秒数表示はとても正確だ」と話す。車線の合流や分岐、突然現れる上り坂なども分かりやすく表示されるとして、細かな作り込みを評価する声もある。台湾で開発されたナビアプリは機能更新が遅く、グーグルマップも台湾ではデータ更新の遅れや新機能不足が指摘されており、高徳地図の強みが際立っている。

世界のナビサービス市場では、グーグルマップが先行者としての強みと汎用性の高い機能により、大きなシェアを占めている。グーグルマップ (Google Map)は、膨大な過去データを使って予測を行い、到着予定時刻(ETA)の予測精度は94.7%に達する。一方、高徳地図は、信号カウントダウン、リアルタイムの交通量、交差点でのUターン案内、駐車場ナビ、トンネル内ナビなど、より地域に密着した機能を加えている。

「道路上に仮想の3D矢印が現れ、どちらへ進めばよいかをはっきり示してくれる。夏の強い日差しの中では、木陰のある道まで案内してくれる」。陝西省(Shaanxi)の市民、耿源(Geng Yuan)さんはこう話す。方向音痴だという耿さんにとって、高徳地図のAR実景ナビは、スマートフォンで撮影した実際の風景に進行方向を示すアイコンを重ねて表示してくれるため、「とても助かっている」という。

警報機能の面では、2025年末、高徳地図は中国安全生産科学研究院と共同で「鷹眼守護」警報技術を発表した。道路や橋の災害・損壊を秒単位で感知し、警報の発信や注意喚起、進入制止を行うことで、ドライバーに貴重な「反応時間」を提供する。これに対し、グーグルマップのスマートフォン版にもAI警報機能があり、洪水、地震、津波などの自然災害を予測できるが、クラウドソーシングデータに依存しているため、即時性ではやや劣り、秒単位の対応は難しい。

中国のナビサービス分野では、高徳地図が一社で独占しているわけではなく、百度地図(Baidu Maps)と長年にわたり「二強」体制を築いている。両者はそれぞれ異なる強みを持つ。

高徳地図は、正確さ、道路状況の把握の速さ、警報機能の充実を特徴としている。車線レベルのナビ精度が高く、トラックやバイクなど車種別のナビサービスも組み込まれている。今年4月には、世界向けのバイクナビソリューションを発表した。ライダーが高架道路やトンネルなど通行禁止区間を避けられるようにし、多言語の画面表示と音声案内、交差点の拡大表示などに対応する。さらに海外サーバーを通じて、安定したナビ利用とデータプライバシーの保護を実現している。

一方、百度地図はサービスの豊富さと初心者にも使いやすい点を強みとしている。複雑な都市道路網でのルート設計に優れ、3D立体ナビの再現度も高い。自社開発の「Real至真エンジン」は、車線、立体交差、トンネルの細部まで高精度に再現でき、サブメートル級の車線レベル測位に対応する。複雑な高架道路やトンネルの細部認識精度は95%に達し、中国の360都市をカバーしている。「8D魔幻都市」と呼ばれる山城・重慶市(Chongqing)の複雑な道路網にも対応できるという。

注目すべきは、現在のナビサービス事業者の技術競争が、自動運転時代のデジタル移動サービスの主導権をめぐる段階に入っていることだ。自動車メーカーとの連携を見ると、百度地図と高徳地図は異なる方向で展開を進めている。

百度地図は電気自動車メーカーとの協力を重視しており、V2X車路協調技術や複雑な都市環境への対応力を強みとし、スマートコックピットのニーズにより適している。高徳地図は協力範囲が広く、40社を超える電気自動車メーカーや従来型自動車メーカーと連携している。車載ナビ向けの開発キット「AutoSDK」国際版には、測位、検索、地図描画、ルート計画などのオンラインナビ機能が統合されており、事業は欧州、東南アジア、中東、南米など170以上の国・地域に広がっている。全体として、両社の道筋は異なるものの、中国のナビサービスの高度化を共に推進し、世界のユーザーにより多様な選択肢を提供している。(c)CNS/JCM/AFPBB News