【5月27日 AFP】ロシア大統領府(クレムリン)は25日、第79回カンヌ国際映画祭でロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督がウラジーミル・プーチン大統領に向けて放った、ウクライナでの「虐殺を終わらせてほしい」というメッセージについて、プーチン氏には伝達しない方針を明らかにした。

ズビャギンツェフ監督は先週末、映画『ミノタウロス』でカンヌ国際映画祭で審査員特別大賞を受賞した際、プーチン氏に向けて演説。同氏はウクライナ戦争を終わらせることができる「唯一の人物」であると主張し、ロシアによるウクライナ全面侵攻を激しく非難した。

この演説がプーチン氏に伝えられたかどうかを問われると、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は「少なくとも私としては、伝えるつもりはない。他の誰もそんなことはしないだろう」と答えた。

ペスコフ氏は、ズビャギンツェフ監督はウクライナ側を批判しておらず、そのような発言をする「権利はない」と主張した。

ズビャギンツェフ監督は演説の中で、プーチン氏自身がこの演説を見ていないことは分かっているとしつつ、「プーチン氏の側近の中に、これらの言葉を彼に伝える方法を知っている人がいると信じている」と述べていた。

同監督はプーチン氏に対し、「前線の両側にいる何百万もの人々が、ただ一つのこと、すなわち虐殺が止まることだけを夢見ている」「ロシア大統領閣下、この肉挽き機を止められるのはあなただけだ。この虐殺を今すぐ終わらせてほしい」と訴えた。

ズビャギンツェフ監督の映画『ミノタウロス』は、自身の夫婦関係が崩壊していく中で、どの従業員をウクライナの前線に送り出すかの選択を迫られるロシアの地方の実業家を通じ、戦時下のロシアの生活を描写している。

2022年にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、大規模な検閲制度を導入しているロシア政府は先週、『ミノタウロス』のロシア国内での上映を許可するかどうかを判断するのは時期尚早だとの見解を示した。

だが、現在フランスで亡命生活を送るズビャギンツェフ監督は、映画の海賊版やVPNの普及のおかげで、多くのロシア人が『ミノタウロス』を視聴する方法を見つけ出すだろうとの見解を示している。(c)AFP