【5月31日 東方新報】北京体育大学(Beijing Sport University)スポーツレジャー・観光学院、中国体育発展研究院などの機関は5月16日、浙江省(Zhejiang)金華市(Jinhua)で開かれた中国国際キャンプ大会で、「『ニッチなスポーツ体験』から『大衆のライフスタイル』へ――アウトドアスポーツ消費発展・トレンド報告」(以下、「報告」)を共同で発表した。

「報告」によると、2025年の中国のアウトドアスポーツ消費は延べ8億人を超え、消費総額は1兆元(約23兆3376億円)を上回った。これは同年の全国社会消費品小売総額の2%に相当する。政策の後押し、消費の高度化、価値観の変化が重なり、アウトドアスポーツは「一部の人が楽しむ体験」から「多くの人の日常的なライフスタイル」へと広がりつつある。

アウトドアスポーツは、登山、釣り、ロッククライミング、トレイルランニングのほか、近年人気が高まっているSUP、フリスビー、キャンプなど、さまざまな分野に分かれている。「報告」は、アウトドアスポーツ消費が氷雪、山岳、陸上、水上、航空など多様な分野で広がり、地域の資源、シーンの特徴、参加者の好みに応じて、それぞれ異なる消費の可能性を引き出していると指摘している。

こうした動きを背景に、アウトドアスポーツ産業のサプライチェーンも急速に広がっている。上流の原材料供給、中流の商品・サービス、下流の販売チャネル、そして最終消費者までを含む、総合的な産業エコシステムが形成されつつある。

「報告」によると、26~35歳がアウトドア消費の中心層で、全体の約48%を占める。この世代は消費力が高く、新しいものを受け入れやすく、SNSなどでの発信も活発だ。アウトドア商品の主要な購入者であると同時に、アウトドアをライフスタイルとして広める担い手にもなっている。特に注目されるのは、女性向けアウトドア市場の拡大だ。ファッション性、軽量性、デザイン性を備えたアウトドア商品の需要が高まり続けている。

地域別に見ると、一線都市と新一線都市がアウトドア消費の中心市場となっている。アウトドアスポーツ参加者の60%は、省内または市内で活動しており、短距離のアウトドア消費が主流となっている。中小都市や県域では、「都市型ライトアウトドア」「近場キャンプ」「親子アウトドア」が急速に伸びており、コストパフォーマンスの高い一般向けアウトドア用品への需要が旺盛だ。こうした地域は、アウトドア消費が地方へ広がるうえで重要な市場になっている。

また、「報告」は、アウトドアスポーツ関連事業者の集積効果が目立ち、アウトドアスポーツの発展が地域の資源条件と密接に結びついていると指摘している。例えば、東南沿海地域ではアウトドアスポーツの発展が好調で、関連事業者数も上位にある。海南省(Hainan)や広東省(Guangdong)などの沿海部では、豊かな海洋資源を生かし、サーフィン、セーリング、ウインドサーフィン、シュノーケリングなどのマリンスポーツが盛んだ。江西省(Jiangxi)は山岳スポーツで大きな成果を上げ、関連サービスの供給も充実している。東北地域(黒竜江省<Heilongjiang>、吉林省<Jilin>、遼寧省<Liaoning>)、京津冀地域(北京市・天津市<Tianjin>・河北省<Hebei>)、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では、氷雪スポーツの供給が豊富で、中心的な位置を占めている。

北京体育大学スポーツレジャー・観光学院の蒋依依(Jiang Yiyi)院長は、「報告」について、2025年の中国のアウトドアスポーツ消費の全体像を体系的に整理したものだと説明した。そのうえで、「業界が消費トレンドを正確に把握し、商品・サービスの供給を最適化するうえで重要な参考となる。アウトドアスポーツ産業の持続可能な発展、スポーツ・文化・観光の深い融合、新たな消費成長分野の育成を進めるうえでも、現実的な根拠を提供する」と述べた。

北京市民の劉菲(Liu Fei)さんは、ハイキングや登山が好きで、アウトドアスポーツを始めて3年になる。「この2年で最も大きな変化は、軽量装備の人気が高まったことだと感じる。若い人たちは、軽くて高機能な素材にお金を払うようになっている」と話す。

全体として、中国のアウトドアスポーツは現在も急速な成長期にある。2024年以降、中国の関係部門は「スポーツ消費の潜在力を引き出し、スポーツ産業の質の高い発展をさらに推進することに関する意見」や「質の高いアウトドアスポーツ目的地の建設に関する指導意見」などの政策文書を相次いで発表し、アウトドアスポーツ消費のさらなる発展を後押ししている。

業界関係者は、延べ8億人、1兆元を超える消費規模は、アウトドアスポーツが特定の「ニッチな層」の趣味から、一般消費者の日常的な消費の重要な一部へと成長したことを示していると見る。今後しばらくは、アウトドアスポーツ消費の規模がさらに拡大し、需要の細分化や販売チャネルの再構築も加速すると予想される。関連ブランドやプラットフォームには、利用シーンの細分化、感情的価値、購入から体験までの一貫したサービスを重視し、安全管理の水準を高め、中国のアウトドアスポーツ消費を質の高い発展の新たな段階へ進めることが求められている。(c)東方新報/AFPBB News