【5月24日 AFP】フランス南部カンヌで開催されていた第79回カンヌ国際映画祭が23日、閉幕した。最高賞パルムドールにはルーマニアのクリスティアン・ムンジウ監督による『Fjord』(原題)が選出された。

『センチメンタル・バリュー(SENTIMENTAL VALUE)』のレナーテ・レインスヴェと『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(THE APPRENTICE)』のセバスチャン・スタンが主演した『Fjord』は、北欧での「名ばかりの寛容」をテーマに掲げた。ムンジウ監督の作品がパルムドールに選ばれるのは2度目となる。

作品では、ノルウェーの田舎町に引っ越した敬虔なキリスト教徒のノルウェー/ルーマニア人夫婦とその5人の子どもたちが、児童虐待の調査対象となる物語を描いている。

「これは寛容、包摂、共感についてのメッセージです。これらは私たちが大切にしている素晴らしい価値観ですが、もっと実践する必要があります」とムンジウ監督はスピーチで述べた。

この映画は実話に基づいており、ノルウェー社会の進歩的な価値観に疑問を投げかけ、信仰深い保守的な登場人物たちに寄り添っている点で注目された。これは、大半のアートハウス系映画祭の出品作とは一線を画すアプローチだ

146分に及ぶこのドラマはカンヌ(映画祭)で最も大きな話題作の一つとなり、バラエティー誌からは「(人間模様や対立が)見事にもつれ合う社会派ドラマ」、デッドライン誌からは「分断された現代を描いた、傑作ドラマ」と称賛された。

同映画祭の2位に当たるグランプリを受賞したのは、ウクライナ侵攻に巻き込まれた冷酷なビジネスマンを描いた、ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督による家族ドラマ『Minotaur』(原題)だ。

カンヌの常連であるズビャギンツェフ監督は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領政権下の現代ロシアを描いた陰鬱な作品で高い評価を受け、数々の賞と2度のオスカーノミネートを果たしている。

現在、フランスで亡命生活を送る同監督は「ウクライナでの虐殺を終わらせるよう」受賞スピーチでプーチン氏に訴えた。

その他、濱口竜介監督の『急に具合が悪くなる』に主演したベルギーのヴィルジニー・エフィラと日本の岡本多緒が女優賞を獲得した。同作品は、仏介護施設を舞台にした感動のヒューマンドラマだ。(c)AFP