【三里河中国経済観察】開幕目前に控え注文殺到 義烏で盛り上がるW杯商戦
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【5月29日 CNS】「注文は多い時で数千万元(1000万元=約2億円)規模、商品数にして数十万点に達します」。W杯公式ライセンスグッズを手がける浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)の企業「聚星動力(All Star Partnaer)」の責任者、駱添楽(Luo Tianle)氏はそう話す。
開幕を目前に控え、義烏ではすでにワールドカップ商戦が過熱している。生産ラインでは、アルゼンチン代表のユニフォームを着た「小羊咩西(リオネル・メッシ(Lionel Messi)を「羊キャラ」化した人気グッズ)」のキーホルダーが次々と包装され、メッシの電子サインが印刷された箱がベルトコンベヤーの上に長く並ぶ。別のラインでは、ポルトガル代表カラーのネックピロー、フランス代表の雄鶏キーホルダー、イングランド代表のライオンぬいぐるみも同時に生産され、作業員が手際よく箱詰め、封入、伝票貼りを進めている。
倉庫と出荷エリアの間をフォークリフトが行き交い、箱詰めされた関連グッズが次々とトラックに積み込まれ、世界各地へ送られていく。駱氏によると、昨年10月の店舗オープン以来、注文は殺到しており、ピーク時には1日でコンテナ数本分を出荷することもあるという。こうしたW杯関連グッズは、いずれも同社がデザイン・生産している。
店で最も人気なのは「小羊咩西」のキーホルダーだ。これはメッシを「GOAT(史上最高)」と呼ぶネット上の表現を巧みに取り入れた商品で、多くのサッカーファンや若い消費者に支持されている。
義烏国際商貿城3区でサッカー用品を扱う呉暁明(Wu Xiaoming)氏も、多忙な日々を送っている。2022年カタールW杯の期間中、同氏が経営する「奥凱体育用品」は、W杯公式から記念サッカーボール10万個の注文を受けた。今回の米国・カナダ・メキシコ共催W杯に向けては、同社の生産ラインで毎日4000個のサッカーボールを生産しており、在庫はほとんど残らない状態だ。
税関の最新データによると、2026年1~2月の義烏市のスポーツ用品・設備輸出額は23億4000万元(約546億4204万円)に達し、前年同期比38.5%増となった。ただ、今回のW杯商戦のピークはまだこれからだ。駱氏は、最も注文が増えるのは試合開始直後の2日間だと予想している。
前回のカタールW杯では、アルゼンチン代表の優勝後、同社の商品はすべて売り切れた。その経験を踏まえ、今回は提携している代表チームの関連グッズの在庫を増やしているという。駱氏によると、今回のW杯商戦は昨年末からすでに盛り上がりの兆しを見せていた。呉氏も昨年5~6月にはW杯関連商品の準備を始めていた。同氏の商品では、カエデの葉、メキシコグリーン、米国カラーなど、W杯らしさを取り入れたサッカーボールが、世界各地のスーパー、越境EC業者、サッカークラブなどへ次々と出荷されている。
なぜ世界のバイヤーは義烏を選ぶのか。「他の場所でもサッカーボールをコンテナ1本分買うことはできます。しかし義烏なら、サッカーボール、トレーニング器具、ユニフォーム、トロフィーまで一か所でそろい、混載輸送もできます。バイヤーにとっては大幅なコスト削減になります」と呉氏は話す。
義烏の強みは、単一商品の安さではなく、産業チェーン全体が集まっていることにある。駱氏の店舗を例にすると、同社は現在、アルゼンチン、ポルトガル、フランス、イングランドなど8か国代表の全カテゴリーライセンスを取得しており、商品はぬいぐるみ、トレンド玩具、文化グッズ、生活用品など多岐にわたる。
義烏全体に目を向けると、W杯関連グッズの広がりはさらに大きい。定番商品に加え、女性ファン向けの体に合うユニフォームやネイルチップ、ファン家庭向けのW杯テーマのインテリア用品、犬や猫向けのペット用ユニフォームまである。さらに、ラッパ、旗、マフラー、カチューシャ、フェイスシール、タトゥーシールなど、観戦応援セット一式もそろう。
駱氏は「私たちがやっているのは単なる卸売ではありません。みんなにスポーツやサッカーを好きになってもらうことです」と話す。同社では毎週20~30種類のオリジナル商品を新たに投入しており、AIを補助的に使ったデザインにより、効率は70%向上したという。「小羊咩西」から各国チームの文化ネタを取り入れた関連グッズまで、ファンが「分かる」「親しみを感じる」商品づくりを目指している。
結局のところ、ファンの熱量がある場所に、市場の熱気も生まれる。ピッチ上の勝敗が分かるのは6月だが、義烏の「試合」はすでに始まっている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News