【三里河中国経済観察】中国車、日本超えの背景にある「三つの変化」
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【5月24日 CNS】世界の自動車産業の勢力図が、大きく変わりつつある。日本経済新聞(Nikkei)は、中国自動車メーカーの2025年の世界販売台数が約2700万台となり、日本勢の約2500万台を上回る見通しだと報じた。日本メーカーが2000年以来維持してきた首位の座が、中国へ移る可能性が高まっている。
2023年、中国は日本を抜いて世界最大の自動車輸出国となった。そして今回は、輸出台数だけでなく、販売規模そのものでも中国勢が世界首位に立つ局面を迎えている。みずほ銀行(Mizuho Bank)の専門家は、中国メーカーの販売拡大が世界の自動車産業の勢力図に変化をもたらしていると分析している。
ただ、今回注目されているのは「販売台数世界一」そのものより、その中身だ。まず大きいのは、中国車輸出の質的変化だ。中国汽車流通協会乗用車市場情報聯席分会によると、2025年の中国の新エネルギー車輸出台数は343万台で、前年同期比70%増となり、自動車輸出全体の41%を占めた。一方、ガソリン車輸出の比率は前年の54%から43%へ低下している。つまり、中国車は単に安価なガソリン車を大量輸出する段階から、高付加価値のEVを中心とした輸出構造へ移行しつつある。乗聯分会の崔東樹秘書長は、「脱ガソリン・電動化」が大きな流れになる中、中国車輸出は「量の拡大」から「質の変化」へ進んでいると分析している。
第二の変化は、収益構造だ。2025年、中国のEV新興メーカー大手は相次いで黒字化を実現した。長期間にわたり資金投入を続けてきた企業群が、ようやく利益を生み出す段階へ入り始めている。自動車産業は規模の経済が強く働く業界であり、一定以上の生産・販売規模に達して初めて固定費を吸収できる。業界再編を経て、中国メーカーでは規模効果が本格的に表れ始めた。利益を上げているのは完成車メーカーだけではない。EV用電池最大手の。寧徳時代新能源科技(CATL)は、2025年に722億元(約1兆6763億円)超の純利益を計上した。ソフトウェアやスマートサービスなど周辺分野でも、新たな収益モデルが形成されつつあり、従来の「車を売って利益を得る」構造から変化が進んでいる。
その一方で、欧米や日本の自動車メーカーは厳しい状況に置かれている。日産自動車(Nissan Motor)の中国販売は7年連続で減少し、トヨタ自動車(Toyota Motar)は2025年度の純利益が25%減少する見通しだ。フォード(Ford)のEV事業も大幅赤字が続いている。市場拡大のタイミングを逃した企業は、より高いコストと低い効率で追い上げる立場に回らざるを得なくなっている。
第三の変化は、研究開発競争だ。現在、中国メーカー各社は巨額の研究開発投資を続けている。2025年、比亜迪汽車(BYD)の研究開発投資は634億元(約1兆4720億円)、吉利汽車(Geely Automobile)は176億元(約4086億4032億円)、長城汽車(Great Wall Motor)は104億元(約2414億6928万円)に達した。
背景には、中国メーカーが「低価格・低品質」というイメージから脱却しようとしていることがある。研究開発への積極投資を通じて、技術力と製品競争力を高めようとしている。コンサルティング会社ローランド・ベルガー(Roland Berger GmbH)が2025年に発表した報告書でも、中国は世界自動車産業の技術リーダーとして急速に存在感を高めていると分析された。
現在、自動車産業では電動化、スマート化、ソフトウェア化が同時進行している。自動車は単なる移動手段ではなく、スマート端末へと変化しつつあり、競争の軸も車単体からエコシステム全体へ広がっている。中国自動車産業にとって、日本超えはゴールではなく、新たな競争の始まりでもある。今後は「規模の優位」を「技術の優位」へ転換できるかが問われることになる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News