【5月17日 CNS】「オンライン授業の保証金を差し引かれたらどうすればいいのか」。浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の西湖文化広場駅で、市民の呉以航(Wu Yihang)さんが画面に向かって質問した。

画面の中のAI「数智法律明白人」はすぐに答えた。「電子商取引事業者が約定に基づき消費者から保証金を受け取る場合、保証金の返還方法や手続きを明確にしなければならず、返還に不合理な条件を設けてはならない。証拠を集め、まず協議し、その後、仲裁や訴訟を検討することを勧める。次に具体的な状況を教えてほしい……」

この場面は、デジタル技術が中国の法治実践に深く組み込まれていることを示す一例だ。オンラインで法律資料を調べたり、オフラインで法律事務所や弁護士を探したりする従来の方法に比べ、人工知能(AI)には、いつでも相談でき、無料で利用のハードルが低く、手順の案内が分かりやすいという特徴と利点がある。

中国各地では、デジタル技術が法律サービス利用のハードルを下げ、サービス効率を高めている。浙江省を例にすると、同省は2006年から法律サービスのデジタル化を段階的に進め、デジタルツールを活用して法律サービス体制を整え、市民により便利な法治関連サービスを提供してきた。

その一つである嘉興市(Jiaxing)が提供しているAI法律相談サービス「嘉興数智普法人」ミニプログラムは、法治広報、法律相談など8つの機能を集約し、「オンライン+オフライン」の二つの窓口を通じてサービスを提供している。これまでに市民からの相談17万件余りに回答した。嘉興市管轄の桐郷市では、このアプリに弁護士資源を接続し、「弁護士デジタルヒューマン」を構築して、民営企業に専用の法律サービスを提供している。

桐郷市桃園村の村民、張雲仙(Zhang Yunxian)さんは、村に「数智普法人」が導入されてから、自分が困ったときに相談できるだけでなく、親戚や友人が必要とする場合にも手助けできるようになったと話す。「少し前に土地流転契約のリスクについて質問したところ、一つ一つ回答してくれた。まるで専門の弁護士が指導してくれているようだった」という。

こうしたスマート法律サービスは、中国で働き、暮らす多くの外国人にも便利さをもたらしている。

「世界のスーパーマーケット」と呼ばれる義烏国際商貿城4区の公共法律サービス端末では、パキスタン人の商人が越境貿易における契約問題について知りたいと相談した。AI回答機能はすぐに関連する法律条文を表示し、標準的な契約書も作成した。「こうした端末の数はまだ多くなく、対応言語も少ないが、それでも弁護士費用を少し節約できた。今後さらに良くなることを期待している」と話した。

現在、チャットGPT(ChatGPT)や深度求索(DeepSeek)など中国内外のAI大規模モデルがデジタル化の流れを加速させる中、AIは中国政府部門の日常業務にも深く入り込んでいる。無犯罪記録証明の発行や居住証の更新手続きといった利用頻度の高い場面に対し、浙江省ではAIが資料を自動審査し、情報を照合している。同時に、複雑なケースには職員が対応する体制も整えている。温州市(Wenzhou)甌海区が打ち出した「合同釘」スマート管理プラットフォームは、AI審査モデルを使い、平均7秒で行政契約1件の「チェック」を完了できる。

浙江省のデジタル化の取り組みは、特別な例ではない。デジタル技術を活用して公共法律サービスを整えることは、中国各地で共通する発展の方向となっている。広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)梧州市(Wuzhou)では、AI法律支援システム「法智梧優」人工知能応用システムにより、市民がAIアシスタント「梧小治」を通じて、わずか3分で離婚時の財産分与に関する法律アドバイスを得た。北京市豊台区は移動式法律相談バスにAIシステムを導入し、住民がいつでもどこでも「スマートフォンで法律を学び、権利を守り、オンラインで紛争を解決する」サービスを受けられるようにしている。上海市の「AI検察官」捜査・公判補助システムは、すでに1万3000件余りの事件を処理し、量刑事情を正確に提示できる。

しかし、「AI+法治」の道は順調なことばかりではない。2025年に1336人を対象に行われた調査では、95.7%がAIによる行政サービスの向上に満足していると答えた一方、データ流出による市民の権益侵害や、AIによる証拠偽造が司法を妨げることへの懸念を示す声もあった。

これを受け、中国は「最高人民法院による人工知能の司法応用の規範化・強化に関する意見」「ネットワークデータ安全管理条例」などを相次いで発表し、AIが法治の枠組みの中で健全に発展するよう取り組んでいる。より高い水準の平安中国、法治中国は、これにより、さらに信頼できる「スマートな頭脳」を持つことになる。(c)CNS/JCM/AFPBB News