【5月8日 東方新報】中国産業発展促進会水素エネルギー分会がまとめた「国際水素エネルギー技術・産業発展研究報告2026」によると、世界の水素エネルギー産業は、実証や試行の段階から本格的な量産・普及段階へ移る重要な局面に入っている。2025年末時点で、中国、日本、米国を含む66の国と地域が水素戦略を打ち出しており、世界の低炭素水素の生産能力は年間110万トンを超えた。このうちグリーン水素は約43万トンで、中国が65%以上を占め、成長を大きくけん引している。

技術面では、水の電気分解による水素製造が低炭素水素の中心的な方向となっている。主流のアルカリ水電解槽やPEM型電解槽に加え、光触媒、バイオマス、海水直接利用といった新しい技術も開発が進む。中国は電解槽の導入規模で世界の約半分を占め、大型設備の開発でも先行している。

水素の貯蔵・輸送でも進展が見られる。気体、液体、固体の各方式で技術革新が進み、欧米では高圧チューブトレーラーの商用化が進展したほか、世界の水素パイプライン総延長は5000キロを超えた。液体水素の生産能力も拡大しており、固体水素の分野では金属水素化物を用いた技術の実装が進みつつある。

利用分野では、製油、合成アンモニア、メタノールなど従来の化学工業向け需要に加え、交通やエネルギー分野での活用が急速に広がっている。燃料電池車は各国の水素産業政策を象徴する分野となっており、特に商用車を中心に普及が進む。2025年末時点で、世界の水素燃料電池車は約12万台、水素ステーションは約1300か所に達した。化学工業分野でも、グリーン水素を使ったアンモニアやメタノールの一体型プロジェクトが相次いでいる。

各国の発展モデルには違いもある。日本と韓国は燃料電池技術で先行し、交通やエネルギー分野での大規模利用を進めている。欧州連合(EU)は認証制度づくりを通じて水素取引ルールを主導しようとしており、米国は液化水素や水素ガスタービンなどの先端技術で強みを持つ。

それに対し、中国は再生可能エネルギーの導入規模と製造基盤の強さを背景に、水素の製造から貯蔵・輸送、利用までを一体化した産業チェーンを築いてきた。電解槽製造や商用車分野での活用でも大きな進展を遂げており、世界の水素産業で「規模の先行者」と位置づけられている。

ただし課題も残る。基礎材料の耐久性、主要設備の中核技術、貯蔵・輸送インフラ、国際標準づくりといった分野では、なお追い上げが必要だ。また、大きな製造能力に比べて輸送ネットワークが弱く、急増するグリーン水素プロジェクトと国際認証制度との間にもギャップがある。こうした構造的な問題を解消できなければ、規模の優位を本当の産業競争力に変えるのは難しい。

今後の焦点は、グリーン水素の大規模化とコスト低減を進めながら、利用分野をさらに広げていくことにある。これらの課題を乗り越えられれば、水素エネルギーは新たなエネルギー体系と脱炭素化を支える重要な柱として、さらに存在感を高めていくとみられる。(c)東方新報/AFPBB News