中国の牡丹「咲けば天下が華やぐ」――その裏にある科学の力
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【5月13日 CNS】「牡丹こそ真の国色、花咲く季節には都をも動かす」。いま、中国では牡丹が見頃を迎えている。古都・河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)や、牡丹の名産地である山東省(Shandong)菏沢市(Heze)では、多くの観光客が花を楽しみに訪れている。
中国において牡丹は、もともと秦漢以前に薬用植物として『神農本草経』に記されたのが始まりだ。その後、南北朝時代から観賞用として栽培されるようになり、1600年以上の歴史を持つ。長い年月をかけて栽培技術は磨かれ、特に近年は先端技術の導入によって、より長く美しく咲く品種が生み出されている。
最近では、「黒牡丹」の動画が中国のSNSで大きな話題となっている。主役は洛陽で初めて誕生した宇宙育種による新品種「翰墨丹青」だ。濃い墨紫色の花は、光や緑の葉に映え、神秘的で気品ある美しさを放つ。
この品種の特徴は、宇宙育種による遺伝的変化にある。2011年、洛陽の牡丹やシャクヤクの種子982粒が無人宇宙船「神舟8号(Shenzhou-8)」に搭載され、その中に「翰墨丹青」の元となる種も含まれていた。専門家によると、この品種は背丈が高く生育が旺盛で開花も早く、黒系牡丹の品種群を充実させるとともに、新たな育種の可能性を切り開いた。
宇宙育種の試みはこれにとどまらない。2002年には菏沢の牡丹種子約200粒が「神舟3号(Shenzhou-3)」で宇宙へ送られ、その後栽培された。現在、菏沢の曹州百花園では2000株以上の宇宙牡丹が育ち、「神舟紅」「紫神」などの品種が次々と開花している。
さらに、5GやAIを活用した栽培も広がっている。菏沢の栽培基地では、土壌や気候、病害虫のデータをリアルタイムで収集し、AIによって栽培管理を最適化している。これにより、施肥や灌漑の精度が向上し、効率的な生産が可能になった。
唐代の詩人・白居易(Bai Juyi)は「花は二十日で散るが、その間、町中の人びとが熱狂する」と詠んだ。現在では現地に行かなくても、5GとVRによるライブ配信を通じて、世界中から牡丹の花景色を楽しめるようになっている。
牡丹は観賞にとどまらず、その価値も広がっている。有効成分を活用した歯磨き粉、搾油後の種子を飼料に利用する取り組み、花びらから作る化粧品や精油など、多様な商品が開発されている。菏沢の企業は研究機関と連携し、牡丹油や茶、化粧品、医薬関連製品など160種類以上を開発し、日本や米国、欧州など30以上の国と地域に輸出している。(c)CNS/JCM/AFPBB News