宮崎駿監督の2008年作品「崖の上のポニョ」(c)news1
宮崎駿監督の2008年作品「崖の上のポニョ」(c)news1

【04月30日 KOREA WAVE】最近、日中の気温が30度に迫り、初夏のような天気が続いた。猛暑の強さや長さも懸念されるが、同時に気になるのは冷たい飲み物のテイクアウトが増える点だ。夏といえば青い海を思い浮かべるが、その海では陸上から流れ込んだプラスチックごみが「島」を作っている。

こうした状況は、宮崎駿監督の2008年作品「崖の上のポニョ」を思い起こさせる。映画は海中のごみの山から始まる。プラスチックや瓶、缶が入り交じる海の中から、魚の少女ポニョが姿を現す。明るく温かなアニメーションとして記憶されているが、出発点は人間が捨てたごみに覆われた海だ。

ポニョが陸に上がると、海はすぐに均衡を失う。波は大きくなり、街は水に沈む。ポニョの父は、海と海洋生態系を傷つける人間を憎み、人間を「絶滅」させようとする計画を立てる。

映画はこれを幻想的に描くが、構造は単純だ。人間の消費が自然の秩序を揺るがし、その結果が再び人間に返ってくるという設定である。海を漂うごみは背景ではなく、物語の出発点なのだ。

現実も大きくは違わない。脱プラスチックの議論は広がっているが、構造はむしろ逆方向に動く可能性が指摘されている。米国・イスラエルとイランの中東戦争で石油やナフサの供給網が揺らぎ、化石燃料に依存する消費体系の脆弱さが露呈した。同時に、産油国や石油企業は燃料需要の減少を埋めるため、プラスチック原料の生産拡大に動いている。

エネルギー転換が、かえってプラスチックを増やす「逆説」だ。再生可能エネルギーへの転換が進んでも、余った石油はプラスチックへ流れる。世界の石油化学産業はすでに供給過剰局面に入り、原油から直接化学製品を作る工程の拡大も重なって、安価なプラスチック原料の供給は増える可能性がある。

安いバージンプラスチックが大量に出回れば、再生原料やバイオ素材は競争力を失う。リサイクル拡大だけでは構造を変えにくいと指摘される理由だ。結局、生産そのものを減らさなければ、脱プラスチックは掛け声にとどまる可能性が高い。

韓国国内の状況も似ている。異常高温で使い捨て用品の消費増加が見込まれる中、核心政策である「カップ価格表示制」の導入は遅れている。2025年末の制度発表以降、具体的な施行時期や方法が示されず、現場では実感されていない。政策が予告にとどまり、うやむやになったとの批判が出る理由だ。

政府は上半期中に「脱プラスチック総合対策」の具体案を示す方針だが、夏場の消費増を前にした4月末時点でも、詳細な実行策に関する公式説明は限られている。使い捨て用品の使用が最も急増する時期を前に、政策空白が続いているとの懸念が出ている。

キム・ソンファン(金星煥)気候エネルギー環境相は全羅南道(チョルラナムド)麗水(ヨス)で開かれたグリーン大転換(GX)国際週間および国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)気候週間で「米国・イスラエルとイランの中東戦争勃発により、ごみ袋などに関連して、根本的にプラスチックを減量し、すでに生産されたものは資源循環させるべきだとの世論が高まっている」と述べた。

そのうえで「近く脱プラスチック対策を発表する」と明らかにした。産業界や暮らしへの影響を総合的に考慮し、国務会議(閣議)などを通じてイ・ジェミョン(李在明)大統領に報告する可能性が高いとみられる。

映画の中の海は、いったん壊れると簡単には戻らなかった。現実も同じだ。戦争はエネルギー供給を揺るがし、エネルギーは再びプラスチックへ転換される。その結果は結局、海と人間の双方に返ってくる。

ポニョを思い出す理由は単純だ。あの映画の海が、もはや想像ではないからだ。未来世代に「ごみの海」や「人類絶滅」を残さないため、実効性ある対策が求められる。【news1 ファン・ドクヒョン気候環境専門記者】

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