【5月5日 CNS】「24時間眠らない世界の応接間」

浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)で20年以上商売を続けてきた繆小麗さんは、この街の変化をこう表現した。この「応接間」で行われている商いこそ、中国経済を支える「三本柱」の一つ、対外貿易だ。

だが2026年の春、この勢いよく走る馬車は、遠く中東で起きた戦火の衝撃を受けることになった。国務院新聞弁公室が4月14日に開いた記者会見で、税関総署の報道官で統計分析司長の呂大良(Lu Daliang)氏は、統計データによると、3月の中国と中東地域との輸出入は、年初2か月の前年同期比増加から減少へと転じたと説明した。

原因は中東での戦火だ。2月28日に米国とイスラエルがイランに対して軍事攻撃を行って以降、ホルムズ海峡は40日以上にわたり機能が滞っている。この海峡は、世界の貨物輸送とエネルギー貿易にとって極めて重要な通路だ。国連貿易開発会議(UNCTAD)の報告によると、同海峡は世界の海上石油取引の25%、液化天然ガス取引の19%、液化石油ガス取引の29%、さらに関連化学品取引の13%を担っており、世界の海上輸送における重要な要衝の一つとなっている。

この海峡が詰まれば、世界貿易も息切れ状態になる。国連貿易開発会議は、イランでの戦闘勃発後、燃料価格が急騰して高止まりし、石油輸送コストも大幅に上昇したと分析している。こうした要因はサプライチェーンを通じて世界の商品の生産・輸送コストを押し上げており、世界の貨物貿易は大きく落ち込むおそれがあるという。

世界貿易機関(WTO)も最近、世界の貨物貿易の成長見通しを大幅に下方修正した。WTOのチーフエコノミスト、ロバート・スタイガー(Robert Staiger)氏は、2026年を通じて原油価格の上昇が続けば、世界の貨物貿易の伸び率は1.9%から1.4%前後に低下する可能性があると分析している。サービス貿易の伸び率も、基準予測の4.8%から4.1%に下がる可能性がある。

そうした状況の中で、中国の第1四半期の貿易実績は意外なほど好調だった。税関統計によると、今年第1四半期の中国のモノの輸出入総額は11兆8400億元(約276兆4983億円)に達し、前年同期比15%増となった。税関総署の王軍(Wang Jun)副署長は、第1四半期の輸出入が11兆元(約256兆8819億円)を超えたのは過去同期で初めてであり、四半期ベースの伸び率としても過去5年で最高だったと説明した。

中東向けの取引が減ったのに、なぜ中国は過去最高を更新できたのか。答えは二文字で言えば、「底堅さ」だ。そしてこの底堅さは、三つの重要な柱の上に成り立っている。

第一に、市場の多角化が進んでいることだ。第1四半期、中国と「一帯一路(Belt and Road)」共同建設国との輸出入は6兆600億元(約141兆5185億円)で、14.2%増だった。東南アジア諸国連合(ASEAN)や中南米向けもともに15.4%増、アフリカ向けは23.7%増、欧州連合(EU)向けと英国向けもそれぞれ14.6%、13.1%増となった。特に輸入先を見ると、第1四半期には150以上の国・地域からの輸入が増加した。つまり、買い手の顔ぶれは変わっても、取引先そのものが途切れたわけではない。市場の多角化は大きな網のようなもので、中東という一角に穴が開いても、ほかの地域がその網を支えた形だ。

第二に、輸入の伸びが目立っていることだ。税関統計によると、第1四半期の中国の輸入は2割近く増え、輸出の伸びを7.7ポイント上回った。輸入規模も過去同期で最高を記録した。その背景には、工業生産の力強い拡大があり、各国が「中国のチャンス」をより多く取り込めるようになっている。第1四半期には、繊維原料、コンピューター部品、電子部品の輸入額がそれぞれ39.3%、45.3%、37.9%増加した。また、内需の拡大も輸入増を後押しした。例えば第1四半期には、ハイテク製品の輸入が25.1%増となり、一次産品や消費財の輸入も比較的高い伸びを維持した。

第三に、輸出の新たな原動力が強いことだ。「応接間」に並ぶ商品は、もはや安価な小物雑貨が主役ではない。高付加価値の製品が中心となっており、そうした商品ほど外部環境の荒波にも強い。第1四半期には、記憶装置部品や中央処理装置(CPU)などの輸出が合わせて39.1%増加した。発電設備、送変電機器、蓄電設備など電力関連製品の輸出も、いずれも2桁の伸びを記録した。

王軍氏は、「複雑で厳しい外部環境に直面しても、私たちの自信は揺らがない」と述べた。中国経済が長期的に好転する条件と基本的な流れは変わっておらず、対外貿易の優位性と潜在力も引き続き明らかになっているという。

戦火のもとでは、勝者はいない。外部環境の不確実性に対し、中国の姿勢は明確だ。停戦と和平を促すと同時に、自らの足元も固めるというものだ。呂大良氏は、中国は一貫して政治的・外交的手段による紛争解決を主張し、和平の促進と戦闘停止に積極的に取り組んできたと強調した。関係各方面が共に努力し、情勢をできるだけ早く沈静化させ、海峡と中東地域の平和と安定を取り戻すことを期待すると述べた。

その一方で、中国は自発的な対外開放もさらに拡大している。5月1日からは、アフリカの53の国交樹立国に対して全面的なゼロ関税措置を実施する。狙いは明確だ。中国は「世界の工場」であるだけでなく、「世界の市場」にもなろうとしている。外からどれだけ大きな波風が吹こうとも、「応接間」の扉が開かれ、客が訪れ続ける限り、商売は止まらない。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News