【三里河中国経済観察】大拠点と大手企業が連携 東北に新たな活力
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【4月23日 CNS】わずか2日間のうちに、中国東北部の2省で、党委員会書記と省長が相次いで同じ企業家と会談した。
3月24日、黒竜江省(Heilongjiang)の許勤(Xu Qin)書記と梁恵玲(Liang Huiling)省長はハルビン市(Harbin)で京東集団(JD.com)の創業者で董事局主席の劉強東(Liu Qiangdong)氏らと会談し、省政府と京東集団による戦略協力深化の協定締結に立ち会った。翌25日には、遼寧省(Liaoning)の許昆林(Xu Kunlin)書記と王新偉(Wang Xinwei)省長が瀋陽市(Shengyang)で劉強東氏らと意見交換を行い、同日には大連市(Dalian)政府と探海遊艇産業発展有限公司による150億元(約3467億5800万円)規模のプロジェクト契約の締結式にも出席した。
その1週間前の3月17日には、同じく黒竜江省で、著名な民間企業家が集まる座談会が黒竜江省ヤブリ鎮で開かれた。
黒竜江省の許勤書記と梁恵玲省長は、ヤブリ中国企業家フォーラムの民間企業家座談会にそろって出席した。出席者には、同フォーラムの輪番主席でマカオの資産取引所・滴灌通(Micro Connect)創業者の李小加(Li Xiaojia)氏、共同輪番主席で職業紹介プラットフォーム58同城の姚勁波(Yao Jinbo)CEO、教育サービス大手の新東方教育科技集団(New Oriental Education & Technology Group)の兪敏洪(Yu Minhong)CEOらが名を連ねた。
こうした会談が相次いでいる背景には、東北振興戦略が第15次5か年計画の策定に向けた重要な時期に入り、民間企業と旧工業地帯が、新たな質の生産力の育成、消費の高度化、対外開放といった分野で、より深い接点を探っている現状がある。
劉強東氏の東北訪問に目を向けると、黒竜江での会談では、黒竜江の大規模生産拠点と京東の大手プラットフォームをどう結び付けるかが核心となった。許勤書記は、市場消費、対外貿易、人工知能プラス、文化・観光の融合、物流ネットワークといった分野で、より実務的な協力を深めたい考えを明確に示した。
一方、劉強東氏は、黒竜江について「生態環境が良く、農業の強みが際立ち、文化・観光資源も豊富で、発展の勢いも良い」と評価し、投資拡大を進める考えを示した。その中で、「新たな消費シーンや新業態の育成」にも重点的に触れた。
遼寧での会談では、許昆林書記が、遼寧は「開放協力のハブ機能を強化し、越境電子商取引や海外倉庫などの新たな貿易業態・モデルを大いに発展させている」と述べた。これは、遼寧が北東アジア経済圏の中核に位置し、陸路と海路の両方を持つ地理的優位性と深く関わっている。
劉強東氏は遼寧で、注目される具体的な目標も示した。今後3年以内に遼寧での事業規模を現在の500億元(約1兆1558億円)から1000億元(約2兆3117億円)へと倍増させるよう努める考えだ。
最近の東北2省と民間企業家との活発な交流は、偶然ではない。ハルビンから瀋陽へ、亜布力フォーラムに集まった企業家たちから劉強東氏の黒竜江・遼寧訪問に至るまで、東北と民間経済との接点は重要なメッセージを発している。
まず1つ目は、東北がビジネス環境の改善を一貫して重視していることだ。黒竜江はビジネス環境の継続的な最適化を明確に打ち出し、遼寧も全プロセス・全ライフサイクルを通じた支援体制を約束している。地域間競争が激しさを増す中、企業が実感できる行政サービスこそが、新たな投資を呼び込む重要な要素になっている。
2つ目は、大手プラットフォーム企業と地方発展の結び付きが、より実務的になっていることだ。双方が議論している焦点は、単なる投資額ではなく、人工知能プラス、越境ECと産業集積地の連携、物流コストの削減と効率化といった、実行可能で評価もしやすい分野へと移っている。
3つ目は、東北振興が「市場」と「資源」のバランスを模索していることだ。黒竜江の農産品販路拡大や製造業のデジタル転換、遼寧の対外開放ルート整備などに共通するのは、地域が持つ資源、立地条件と、企業が持つサプライチェーン、技術、市場ルートの強みを結び付けることにある。
第15次5か年計画綱要では、民間経済の発展拡大が明確に打ち出され、「民営経済促進法の実施」や「民間経済発展の総合サービス体系の整備」なども盛り込まれた。こうした大きな流れの中で、東北と民間企業が相互に歩み寄る動きは、地域発展の現実的な選択であると同時に、国家戦略を具体化する実践でもある。
山海関を越えれば、投資の天地は広い。企業と地域がどうすれば相互利益の中で新たな道を切り開けるのか。その答えは、こうした具体的な協力の積み重ねの中から、より説得力を持って示されていくのかもしれない。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News