【4月9日 AFP】イランの首都テヘランでは、米国との停戦について人々の意見が割れている──停戦によってもたらされるものは何もないと恐怖を口にする人がいる一方で、勝利を宣言して喜ぶ人もいる。だが、数週間にわたる武力衝突が停止し、多くの人には安どの表情がうかがえる。

「今はみんな安心して、やっと少しリラックスできている」と話すのは、50代の主婦サキネ・モハンマディさん。AFPには「自国を誇りに思う」と話した。

停戦を前に、ドナルド・トランプ米大統領は、イランの指導者が米側の要求を受け入れなければ「文明を滅ぼす」と脅迫していた。

1か月以上にわたって爆撃を経験した英語教師のシミンさん(48)にとって、その脅迫は身体に異常をきたすほどのストレスをもたらした。

「足や腕の感覚がなくなった」と説明する彼女は「私たちは心の底から恐怖を覚えた。ショックと心理的圧力が非常に大きく、今でも停戦に安堵していいのかどうか分からない」とAFPに不安げに語った。

トランプ氏が「文明を滅ぼす」と脅迫すると、テヘランの住民はパニックとなり、同国北部のカスピ海沿岸地域を目指して避難した。紛争初日も、多くのテヘラン市民が同様の行動を取った。

■「私たちは英雄」

停戦が合意されて以降、テヘランでは爆撃が止んだ。

最近数週間、市内の検問所には武装した男たちが配置されていたが、8日にはその姿が見えなくなった。検問所があった場所には、バリケードと標識だけが残った。

閉鎖された空港や破壊された建物からは焼け焦げた匂いが漂っている。イスラム共和国建国者のホメイニ師と初日の攻撃で殺害されたアリ・ハメネイ師の巨大な壁画は、市内の破壊された建物と散乱するがれきを見下ろしている。

1か月以上に及んだ紛争では、数千人が命を落とし、広い範囲で被害が生じた。それでも、米国とイスラエルに停戦を強制したのは自国の軍事力だと主張する人もいる。

ベフルーズ・ガフラマニさん(67)は、戦闘が再開すれば「再び攻撃する」と言い、「私たちの軍事力を示すことで米国は停戦せざるを得なかった」と強調した。

また、米国を停戦に追い込んだことを誇りに思うとしたのは、通貨両替店を経営するモハンマド・レザ・ハヤトルーさん(53)。「私たちは英雄だ。世界の超大国に立ち向かったのだから」とAFPに話した。

一方、反体制派の人々にとっては、この停戦は不安をもたらすものとなった。

政府の変革を望んでいるというアーミンさん(35)は「紛争が終わっても、イスラム共和国はそのままなのだろうか。人々に何の利益をもたらさないままなのだろうか」と不安げにつぶやいた。(c)AFP/Sebastien Ricci et Mostafa Dadkhah