【三里河中国経済観察】中東資金が香港に流入 その背景とは
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【4月17日 CNS】「中東で戦争が起きているのは非常に残念だが、思いがけないことに、中東の資金が香港に流れ込んでいる」
香港中華総商会の蔡冠深(Jonathan Choi)会長は25日、ボアオ・アジア・フォーラム2026年年次総会の期間中に三里河経済観察の取材に応じ、最近の香港株式市場での新規株式公開(IPO)による資金調達では、中東諸国の政府系ファンドが多くの案件を支えており、現地の多くのファミリーオフィスも香港に進出していると語った。
香港特別行政区政府の財経事務・庫務局の陳浩濂(Joseph Chan Ho-lim)副局長もメディアに対し、香港市場は相対的に安定しており予見可能性が高いことから、今年最初の2か月だけでも、投資推進署の支援を通じて20社を超えるファミリーオフィスが香港で新たに拠点を設けるか、事業を拡大したと明らかにした。
実際のところ、資金が香港を有望視しているのは短期的な動きではなく、長期的な視点に基づくものだ。近年、中東資本は香港と中国本土の資本市場への投資を継続的に進めており、香港は中東資本を含む世界の資金配分先として重要な選択肢になっている。
香港証券先物委員会がこのほど発表したデータによると、2025年に香港で登録されたファンドの純資金流入額は3567億香港ドル(約7兆2613億円)で、前年に比べ118.5%増加した。2025年12月時点で、これらのファンドの運用資産残高(AUM)は前年より38.3%増の2兆2800億香港ドル(約46兆4139億円)に達した。
数ある国際金融センターの中で、なぜ香港は中東資本が東へ向かう際の集積地になっているのか。答えは、「安全」「接続性」「イノベーション」という3つのキーワードにある。
まず安定性と安全性の面から見ると、香港は地政学的な変動の中にある「避難港」だ。不確実性に満ちた世界環境の下では、安定そのものが希少な資源となる。他の国際金融センターと比べても、香港は中国本土を後ろ盾とし、経済の基礎体力により強い粘り強さがあり、政治環境もより安定している。これは、資産の安全を重視する資本にとって確かな保障となっている。
次に、「スーパーコネクター」としての役割から見れば、香港は中国本土市場へ向かう理想的な玄関口だ。中東資本にとって、香港への投資の意味はこの都市そのものにとどまらない。香港という「スーパーコネクター」を通じて、中国本土の巨大な市場と成長機会につながることにある。上海・香港ストックコネクト、深セン(Shenzhen)・香港ストックコネクト、債券通など一連の相互接続制度によって、国際資本は中国本土の資本市場へ容易に参入できる。
さらに、イノベーションと包摂性の観点から見ると、中国本土の産業力とイノベーションの強みを背景に、香港は中東諸国と産業面で補完関係を築いている。中東の多くの国は石油依存からの脱却を進めており、新エネルギー、人工知能(AI)、バイオ医薬、先進製造などの分野は、中国の強みとも重なる。そのため中東資本の流入は、単なる財務投資ではなく、技術や産業協力を伴う戦略的投資へと変化している。
現在の地政学的な構図の下で、香港には課題もあれば機会もある。香港特別行政区政府の陳茂波財政長官は、中東資金が安全性を求めて香港を選ぶ可能性があるとし、政府としても対応策を整えていると述べている。
また、香港特別行政区の李家超(John Lee Ka Chiu)行政長官は、世界が不安定さを増す中でも、香港は孤立ではなく開放という姿勢を選び続けると強調した。「一国二制度」の下で、香港は中国の支援を受けながら、世界との結びつきを維持している。
蔡冠深会長は、「中東資金が香港に流入している背景には、中国という強力な後ろ盾がある」と指摘している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News