「国際太極拳の日」、太極拳発祥の地・陳家溝で陰陽の理に世界が集う・中国
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【4月19日 東方新報】2025年11月に開催された国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の第43回総会で、「春分の日」に当たる3月21日を「国際太極拳の日」とすることが、加盟国の全員一致で可決された。
初の「国際太極拳の日」にあたる今年の3月21日、太極拳発祥の地・河南省(Henan)温県陳家溝村には、国の内外から1000人余りの太極拳愛好家が集まり「2026年『国際太極拳の日』演武イベント」に参加した。
太極拳は、心静かな内省を重んじ含蓄に富み、「以柔克剛(柔をもって剛を制する)を体現する中国武術の集大成である。17世紀半ばに陳家溝村で誕生して以来、複数の流派に発展してきた。2020年にはユネスコの「無形文化遺産代表リスト」に登録された。
演武会場では、54歳の「陳氏太極拳」第十二代伝承者・張福旺(Zhang Fuwang)氏が素朴な装束で、多くの太極拳の大師たちと共に、搂膝拗歩(片手で膝前を払いつつ、身体をひねって一歩踏み出す動き)、弓歩雲手(前に踏み込みつつ、両手で円を描くように滑らかに動かす動作)などの技を、まるで雲が流れるような滑らかさで披露していた。
張氏はこれまでに800人余りの海外の弟子を育ててきた。「太極拳は動的な均衡のうちに全体の調和を実現し、『易に太極(万物の根源)あり、これ両儀(陰と陽)を生ず』という古来の哲学的思想を完ぺきに体現するものだ。だからこそ国内でも海外でも広く愛されている」、張氏はこのように説明している。
「陳家溝太極拳学校」では、フランス人留学生のオリヴィアさんが兄弟子たちと共に、太極拳の基本である「八法五歩(手と上半身の8種の動作、5種の足の運び)」の稽古をしていた。「私は新しい世代の太極拳伝承者になりたいと強く願っている」、オリヴィアさんは2週間前に陳家溝村を訪れた。彼女はこれまでフランス、タイ、ベトナムなどで3年近く太極拳を学んできたが、指導者が陳家溝出身者だったことから、その源流を尋ねるために訪問したと話している。
陳家溝村の「長期滞在者」であるロシア人のイリーナさんは、2014年からここで太極拳を修練している。彼女は「太極拳は、静かな心で複雑な世事に向き合うことを教えてくれ、目まぐるしい現代生活の中で心の平穏と秩序を見つける助けとなる」と話す。現在、イリーナさんはインターネットのプラットフォームを活用し、動画撮影やライブ配信などを通じて、太極拳を分かりやすく解説し、日常生活に溶け込ませながら、ロシア、中央アジア、南米などの国や地域に継続的な発信を続け、多くの海外ファンを惹きつけている。
陳家溝は、外国の友人たちを惹きつけるだけでなく、陳家溝の多くの拳師たちが「海外に出かけて行く」動きも活発化している。演武イベントの当日、ドイツ在住の陳式太極拳第十二代伝承者の一人・陳炳(Chen Bing)氏は、遠隔地からオンラインで、陳家溝村の太極拳の生徒たちと交流を行った。また昨年9月には、陳家溝村とドバイとがリモートで連携し、陳炳氏が世界中の弟子たちと共に「最多国籍の練習者による太極拳の共同演武」のギネス世界記録に挑戦した。
陳炳氏によれば、太極拳は身・心・魂・知恵の統一調和であり、その陰陽相済(いんようそうさい)の「両儀」の理念は海外の弟子たちから深く敬われており、東西文化を結ぶ精神的な絆の一つとなっているという。
陳家溝村党支部の陳冲(Chen Chong)書記は「村には現在3000人余りの村民がいるが、太極拳学校が3校、民家の道場が40か所余りあり、800人以上の拳師を擁している。また、村では『太極拳+インターネット』モデルを積極的に活用し、デジタル化された伝承体系を構築し、30余りの国や地域と文化交流プロジェクトを展開している」と紹介した。(c)東方新報/AFPBB News