ヒト型ロボット、「ショー」から「実用」の現場への道のり・中国
このニュースをシェア
【4月8日 東方新報】2026年の政府活動報告は「具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)」を含む「未来産業」の育成・発展を打ち出した。ヒト型ロボットが「就職」する日は遠からず到来するのだろうか?ヒト型ロボットが「パフォーマンスショー」の段階から実際の「職場」へと進出するために乗り越えなければならない障壁とは何か?中国の「全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議)」の場で、代表委員たちは自身の見解と考察を示した。
全国人民代表大会代表で人工知能研究開発企業「科大訊飛(アイフライテック、iFLYTEK)」の董事長・劉慶峰(%Liu Qingfeng%%)氏は、技術的進化の観点から、ヒト型ロボットが「実戦配備」のために避けて通れない道のりを分析した。
劉氏は「春節(旧正月、Lunar New Year)祝賀夜宴の舞台でのヒト型ロボットの演技の背景には運動制御能力の向上があった。しかし、ヒト型ロボットが本格的に家庭や産業の現場に入り込むためには、さらに3つのステップが必要だ。第1に、モデルを通じて環境を認識すること。第2に、認識した上で、事前に設定された固定ルートではなく、自ら移動経路を計画できること、第3に、人間のジェスチャー、表情、そして最も重要な音声操作を完全に理解できることだ」と指摘する。
さらに劉氏は「これらを一連の流れとして結びつけること、すなわち新世代のヒューマン・マシン・インタラクション、シーン理解、動作の全体計画と設計、そしてこれらを動作の能力と組み合わせることで、ロボットは家庭や産業の様々な応用シーンに入り込むことができる。これはシステム全体のイノベーションであり、連動させることが必要だ」と説明する。
単に「動ける」段階から実際に「作業ができる」段階へ移行するには、インタラクションデータ(相互作用データ)がロボットの知能化レベルを決定づける重要な要素となる。
全国政治協商会議委員で「天娱数字科技(Dalian Zeus Entertainment Tianyu Digital Technology)」の賀晗(He Han)董事長は「現在の中国のヒト型ロボット産業は盛況であるものの『展示場は賑わっているが、作業現場は閑散としている』というジレンマに直面している。その理由の1つはデータのボトルネックだ」と率直に指摘した。
汎用大規模モデルがインターネット上のデータを活用できるのとは異なり「具身型AI」には、例えば物体をつかむこと、組立、運搬など「タスクレベル、プロセスレベル」の大量のインタラクションデータ(相互作用データ)が必要だが、これらは取得コストが高く、アノテーション(注釈タグ付け)も難しい。各研究機関がデータ収集プラットフォーム、センサーインターフェース、データフォーマットをそれぞれ独自に進めているために「データの孤島」状態が生じているという。
この問題の解決のため、賀氏は、いくつかの「国家級の具身型AIデータ収集・事前学習センター」を建設すべきと指摘し、典型的なタスクを対象に再利用可能なデータセットを形成し、統一的なデータ標準を作り、データの所有権とコンプライアンスの境界を明確にして、企業横断的・プラットフォーム横断的な再利用を促進することを提案した。
シナリオの実装化の面では、賀氏は「製造、物流、商業サービス、介護などの分野では巨大な実際の需要が存在するものの、応用場面(シナリオ)が細分化されていること、検収基準が統一されていないこと、予算やイテレーション(反復的開発)の仕組みが不十分であることが原因で、企業が『プロジェクト単位の納品』と『製品化された再利用』の間で揺れ動いている」と強調した。
賀氏は、国家級の「ヒト型ロボット実用化(就職)リスト」の作成を提案し、まずは利益が定量化しやすく、環境が比較的構造化されたシナリオ、例えば3C(コンピュータ・通信・家電)の組立、倉庫内の運搬、危険物の巡回点検などに優先的に取り組み、一定の規模化をすべきだと提言している。
全国人民代表大会代表で「小鵬汽車(XPeng)」の董事長・何小鵬(He Xiaopeng)氏は「27年から29年にかけて、世界のヒト型ロボット発展における重要な戦略的機会の期間が到来するだろう。大部分のヒト型ロボットはますます賢くなり、一部はますます『人間らしくなくなる』だろう」と予測する。
何氏は「真のヒト型ロボット工場では、将来的に一部はロボット自身がロボットを製造する工場になるだろう。現在、皆が模索しているのは、いかに効率的にヒト型ロボットを生産するかという点だが、まだ十分な大規模生産の段階には達していない」と述べた。
「具身型AIは、大規模モデルに続く新たな産業の主軸になりつつある。それはアルゴリズムの能力を、画面の世界から物理的な世界へと引き込み、『知覚し、意思決定し、行動できる』新しい質の生産力を形成する」、賀氏はこう強調した。(c)東方新報/AFPBB News